巻頭言
根気強く、繰り返して
正 木 幸 代

 本校では、「考える力」をつけるために、45分授業の中で「1人学び」の時間を確保し、1人学びしたことを「ペアトーク」する学習活動を進めている。また、習得した知識を活用できる単元構想の工夫にも取り組んでいる。

 平成24年1月に、吉永先生に本校の研修会講師としてお話をしていただいた。とても印象に残ったキーワードがある。それは「ていねいに」ということだ。私は日頃の校内研究推進にむけて、いかに授業を組み立てるか、45分授業をどう展開するかという所にばかり目がいっていた。しかし、子どもの力を伸ばすためには、授業展開はもちろん大切だけれども、日常生活のあらゆる場面で、言葉に関する丁寧な指導がベースになることを教えて頂いた。

 改めて考えてみると、私は漢字ノートやテストは丁寧に見ていたのだが、連絡帳や各教科のノートでは、漢字で書けるところを平仮名で書いていてもあまり気にしていなかった。また、言葉遣いについても、授業中は正しい言葉遣いを意識させていたが、日常生活での言葉使いとつながっていなかったと気づいた。

 そこで、連絡帳を手始めに、文字に関するコメントを書き続けた。他の教科のノートでも、繰り返し言い続け、指導を続けている。

 今年度は6年生の担任をしている。4月から文字に注目し指導をつづけている。直そうとしない子ども達にも、根気よく書き直させ続けている。また、話す言葉についても、言葉使いがおかしい場合は「言い直してごらん。」と声をかけ続けている。途中で私自身、あきらめそうになり、「これぐらいいいかな。」と思ってしまいそうになるが、「ていねいに」というキーワードを思いだし繰り返し続けている。すると、少しずつだが、児童が漢字で書くことを意識しだすようになっていた。その成果は漢字テストにも現れ、子ども達も漢字を日常的に書けたことが実感できたようだった。言葉使いについても自分から「言い直します」という子どもに変わっていった。根気よく、繰り返すことの成果を実感できた瞬間であった。

 しかし、夏休みが終わり2学期が始まり子どもの夏休みの宿題や連絡帳を見ると…。また4月のころの文字に戻っていた。9月からまた「根気強く、繰り返し」指導を続けている毎日である。
(尼崎市立潮小学校 研究主任)