学級をとじるとき
廣 瀬 久 忠

 いよいよ明日が、学級をとじるときのことである。子どもは春休みが始まるから、うきうき。春めいてきてワクワクのときである。
 それぞれの担任がどんな「学級の締めくくり」をするのか気がかりであった。いつもと同じように何も変わりなく帰りの時刻がやってきて、給食もないので12時までに帰らせなければならない慌ただしさの中で何かまとまった話をできるのか心許なくなった。しかも、学年集団下校システムで帰らせているので、隣のクラスと歩調をあわさなければならない。
 特に若い教師たちに心の準備をしてほしくて通信でお願いした。

【 教頭通信 3月19日号】
 いよいよ明日は、学級をとじるときです。このときを大切にすることがあとで大きくその子どもたちや学級集団にとって大きな意味を成します。
 修了式に向かう前に子どもにぜひ声かけをお願いします。
「今日は、私は式の最中いつものようにずっと君たちを見ています。一人ひとりの顔と立つ姿をじっと観ています。」
「あなたが、この1年間をどのように学校で過ごしたかは、この私がよく知っています。」
「いつもなら、姿勢を正したり、しっかりするように声をかけたりしましたが今日は一切そうい う動きはしません。」
「あなたが今どんな気持ちでこの式に参加すべきか考えられるかどうかを見ています。」
「それが私が担任をしてきた1年間に対するあなたの姿勢の表れだと考えるからです。」
と、声をかけてみてください。
 きっとこれまでの最高の姿を見せてくれることでしょう。それが可能性を秘めた子どもだと思うからです。
 大掃除が終わり、最後の学活。
 ここでも子どもにぜひ大切な声かけをお願いします。
 この語る言葉はあなただけのものです。何を語られるか是非聞きたいものですが、ここはそれぞれの胸のうちにしまいましょう。
 本当に1年間お世話になりました。あの子どもたちが、あんなに立派になったのは誰かの力ではなく、先生の汗の賜であります。
 その汗に心より敬意を表し、お礼の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 学級を締めくくるときの空気を廊下から感じに校舎を巡った。
 先生のピアノと歌声が聞こえる。
 賑やかな笑い声が聞こえる。
 しんみりとした教室に先生の静かな声が聞こえる。
 暗唱した詩の群読が聞こえる。
 教科書より案外覚えているのはこんな刹那だったりする。
(湖南市立菩提寺小)