教えなきゃ ー話し合い編ー
杉 澤 周 一

 主体的に学ぶ子どもを育てることは今も昔も変わらないテーマで多くの教師が目指してきた。主体性を引き出すことと教師が前面に出ず子どもに任せることは同じではない。主体性を引き出すためには、もっと教えなければならないと思う場面がいくつもある。
 例えば、「○○について話し合いましょう」の一言で主体的に意見を交わすまでには、次のようなことを教えなければと思う。
話し合いには何のために何をめざして考え意見を出し合うのか、その種類があること。それに応じ て進め方がそれぞれにあること。

@並列
 発問や課題に対して、思いや考えたことや調べたこと、思い出したこと、発見したことなどをみん なで並列にたくさん出し合う。このグループは10個も出せたねなどと数で評価できる話し合い。
[話し合いの仕方の例]1分間黙って考えた後、出せる人は手を挙げて司会に当ててもらったら話し、みんなはそれをノートに書き並べよう。たくさん書けるといいね。

A選択 決議 討論
 発問や課題に合うものについて、提示された中から選ぶか、自分たちで読んだり調べたりして見つけた幾つかから選ぶ。選択肢について理由や根拠などを挙げ検証する意見を出し合い、合うものを選び出す話し合い。1つに絞る、幾つか挙げる(3つ選び出すなど)、2つに分ける、順位づけ、比べて賛成反対などの討論をする。
[話し合いの仕方の例]選択肢の中から何を選ぶかを個々に考え、理由や根拠をメモに書く。まずAを選んだ人から意見を出す。理由や根拠の付け足しをする。質問や反論があれば出し、できれば誰かが応答する。B、C…について同様。話し合い中は、必要な事をメモし、自分の考えを確かなものにしたり変えたりする。最後にまとまれば良し。意見が分かれても良し。それを全体に伝える。

B相互に参考にする
 発問や課題に対して、自分の思いや考えを広げる、深める、増やす、減らす、変えるなどのために 互いに思いや考えを出し合う。何かを決める話し合いではない。
[話し合いの仕方の例]最初に誰かが話す。それに同じような考えや思い、理由や根拠、事例などを付け足す。質問を出しみんなで応答をみんなが考え出し合う。次の話題に進む。前と関連が出てきたら、ふりかえりつなぐ。

 高学年で、せめてこの3つの型があることや司会の進め方と話し言葉、発言の仕方、まとめ方など を教えなきゃ。知らない子どもに任せて、「話し合いができない」とぼやくなかれ。誰が教えるの。 先生でしょ。教えなきゃ。
(東近江市立玉緒小)