じどう車ずかんをつくろう
谷 口 映 介

 1年生で学習する説明的文章の第2教材「じどう車くらべ」(光村図書1下)を実践した。今回は、「しごと」と「つくり」の関係を考えながら、だいたいの内容を読み取る力を身につけさせたいと考えた。

 説明の仕方は、「問題提起」の後、3種類の自動車を例に挙げ、それぞれの自動車についての「しごと」の説明があり、そのための「つくり」という順序で構成されている。また、「そのために」の指示語を使うことにより、それぞれの自動車の働きとつくりが論理的に説明されている。実践では、「くらべる」ことをキーワードに学習を進めようと考えた。視点は次の3つである。
 @「しごと」と「つくり」の関係を比べる。
 A各事例の文章構成を比べる。
 Bじどう車ずかんの書きぶりを比べる。

 導入では、身近な自動車の写真を提示し、比べる観点をたくさん出し合った。子ども達は、「大きさを比べると、乗用車よりも、ダンプトラックの方が大きいです。」「色を比べると…」など、比べる観点は、多くあることを学んでいった。その中で、「バスは、人を乗せるしごとをしているけれど、トラックは荷物を運ぶしごとをしています。」という気づきが出され、教材文へとつなげた。

 事例の読み取りでは、「しごと」に対する「つくり」を挿絵や文章を手がかりに読み、毎時間、@写真、Aしごと、Bつくりと三段構成にしたカードにまとめていった。子ども達は、以前に学んだ説明文「いろいろなくちばし」と同様に、論の展開が同じ構成となっていることに気づいていった。また、指示語「そのために」の文章構成上の意味を理解することにもつながった。

 学習の出口では、教科書から学んだことを活用して、自分の「自動車図鑑」を作ってみることで、教科書以外の図鑑や本の中から必要な情報を収集し、教材文の書き方をまねて文章を書く活動へと発展させた。この段階で特に留意したいのは、図鑑のどこに書かれているかを適切に読み取る力を身につけさせることである。単に図鑑を与えるだけでは、戸惑う子どももいるだろう。そこで、最初は図鑑に載っている共通の自動車から説明文を考え、徐々に自らの力で書けるように支援した。交流では、体育館に全ての作品を並べ、感想を話し合った。
◆しごとと関係するつくりがたくさんあることが分かりました。
◆○○さんの書き方が、わたしが書いたのとちがって、なるほどと思いました。
 教材や仲間から得た「なるほど」は今後も大切につなげていきたい。
(滋賀大学教育学部附属小)