おきしま作文教室
三 上 昌 男

 「書くこと」の学習を充実させるため、全校的な作文学習の機会を月1回持つことに決め、取り組み始めた。ここでは11月の取り組みを紹介したい。指導の手引きを私が作り、実際の指導は各担任が進めることとした。

◇「作文スケッチ」の学習
 物や景色を作文で表現するのが「作文スケッチ」の学習である。視線を動かしていくと、様々な発見や気付きがあり、それらを言葉でスケッチするように自分なりの表現を工夫できる短作文の学習である。

 低学年(2年)は、作文スケッチの表現対象を「身の回りの物」とした。筆箱や水筒、コップなどを選び、形・色・大きさ・絵柄など、物の特色を捉えて書くことにした。事前指導として、一つの題材を決めて、たとえば「先生のもっている赤えんぴつ」など、それを見て、どれだけ文を作れるか、文集めをするようにした。

 中学年(3・4年)は、「校庭」を表現対象とした。2階の教室の窓から見える校庭の様子と、実際に校庭に出て見える様子を比べて書く活動を展開した。見えるものの違いや見え方の違いに気付き、表現することを大事に指導するようにした。

 高学年(5・6年)は、「港の景色」を表現対象とした。栗谷港に出かけ、目と耳を働かせ、見えるもの、聞こえるものを言葉で捉えていき、港の景色を自分なりの視点で作文スケッチすることにした。どのような順序で視線を移していくといいか考えると、作文の構成ができることを指導した。たとえば、「遠」から「近」、その逆。「右」から「左」、その逆。

 どの学年でも2回学習を設定した。1回目は例文を示し、作文のイメージを持って書くようにした。2回目は、自分なりの工夫を生かすように促した。

<高学年の例文>
 栗谷港の堤防に立ってみました。左手には、大小様々な船が止めてあります。ひときわ大きな船は、以前スクールボートとして使われていた「わかば」です。その上を、一羽のとんびが、ゆったりとした動きで円を描くように飛んでいます。
 右手をながめてみると、三十をこえるカモが湖面に浮かんでいます。時折頭から水の中にもぐり、えさを探しているようです。カモたちのずっと向こうを、漁船がボンボンボンという音を立てながら通り過ぎていきました。
 今日の栗谷港は、静かで、吹く風が冷たいです。

 学習後、全員の作文を掲示し、それぞれのよさを評価しながら学び合うようにした。
(近江八幡市立沖島小)