本棚  イラストで楽しむ 日本の七十二候
アフロ 著
中経の文庫 2013.4 676円
イラストで楽しむ 日本の七十二候

 日本には一年を24等分した二十四節季と72等分した七十二候という季節があります。「気候」という言葉は、二十四節季の「気」と七十二候の「候」から生まれたもの。と、カバーに書かれている。

 冬であれば、立冬、大雪、冬至、大寒など、二十四節季はテレビの気象情報で取り上げられることも多い。啓蟄のような難読の漢字もよく見かけるようになった。

 しかし、七十二候には日頃接することはほとんどない。七十二候はもともと古代中国で作られたもので、江戸時代に暦学者の渋川春海が日本の風土に合わせて改訂したものだという。5日ごとにあるものなので、日常的に使うには煩雑であろう。

 例えば春。啓蟄の後「蟄虫啓戸(ちっちゅうこをひらく)」「桃始笑(ももはじめてわらう)」「菜虫化蝶(なむしちょうとかす)」と続いて春分となる。花をはじめ虫や鳥、風や雨、霞、霧など日々移ろう自然の姿を捉えている。季語になっているものもある。

 本書では七十二候それぞれのイラストの他、関連する情報も盛り込まれている。七十二候をもとに改めて自然を見てみると、古き時代の日本人の季節感を知ることができる。
(常諾真教)