もう一生… 〜感謝の手紙〜
高野 靖人

 昨年度も紹介したのだが、拠点校指導員として「感謝の手紙を書こう」というパソコンを使った学習を行った。
 手順は、次の通り。

(1) 準備として、全40台のパソコンを立ち上げ、メンテナンスを行う。最終的には、先生機の画面を全児童機に転送しておく(デモンストレーションをするため)。
(2) 児童入場。自由席。あいさつ。学習の目的(感謝の気持ちを伝えたい人を一人選び、パソコンで基本の形を作り、手書きの文なども加えて完成し、相手に渡す学習)を告げ、方法をパソコンで示す。使うソフトは、ジャストスマイルの「ありがとうカード」。
(3) ここからは個人作業なので、私も担任も個別指導にまわる。子どもたちの学習手順は、
・まず相手を決める。
・相手に合ったテンプレートを選ぶ。
・相手の名前と自分の名前を打ち込んだら、一旦保存する。
・後は、時間のある限りメッセージなどを打ち込み、最後に上書き保存をする。
(4) 学習の終了後、休み時間などに私がまとめて印刷し、子どもたちに配布(担任に託す場合もある)その後、手書きの文やイラストなどを加えて完成させ、相手に渡すという流れである。

 手紙の相手は、例年通り「父母」「母」「友達」が多かった。
 今回初めて全文英語の手紙も登場。父親が外国人という児童がいて、日本語がやや苦手で困っている様子だったので、「英語で書いてもいいよ」と言うと、喜んで書き出した。ハワイにいる親戚に送るらしい。

 さて、ある学級の男の子。母親に書くテンプレートを選び、1行目には、「いつもごはんとか作ってくれてありがとう。」と書かれていた。無難な書き出しである。ところが、2行目には「もう一生かたもみはしません」。きっぱりと全面拒否である。何があったのか、気になった。パソコンで書かれたのはここまでで、後は手書きで仕上げるのだが。
 印刷する前に、本人に尋ねると、「手がだるいから」という答え。聞けば、本人は頼まれて「肩たたき」や「肩もみ」を時々しているらしい。「肩たたき」はともかく、「肩もみ」は手がだるいなと思い出して、書いてしまったらしい。心配したような、反発・拒否といった強い感情はなかった。それにしても「もう一生〜」といった強い表現を用いた点は気になった。結局本人も納得して2行目を修正したものを印刷した。
 身近な人へも手紙を書く機会が少ないことも関係しているように感じた実践だった。
(大津市立仰木の里東小)