宮沢賢治の作品の「おもしろさ」を読み解く
北川 雅士

 東京書籍5年下の教科書に「注文の多い料理店」が掲載されている。単元名は「物語のおもしろさを考えて読み味わおう」となっている。
 本年度担任している5年生の児童は読書を好み、頻繁に図書室に通い本を借りてくる。1学期の様子を見ていると。読書量は多いものの、単発的な読みが多く、文章も表面的な読みで終わってしまっており、読みに深まりがなく、物語の核心にふれずに読み終えてしまう児童も多い。

 そこで、「注文の多い料理店」の読解を通して、今まで自分で感じていた「読書の面白さ」に加えて、物語の構成や表現に作者のどんな意図がこめられているのかや、叙述の効果について考え、交流する学習を行い、物語をより深く味わい、今後の読書生活につながる学習を行った。

1、「注文の多い料理店」の概要をとらえる
 「注文の多い料理店」は、山深いところにある料理店を舞台にして、強がろうとする二人の若い紳士の滑稽さ、言葉遊びをしながら注文を投げかける山猫の思惑の行き違いがおもしろおかしく描かれた作品である。「設定」「展開」「山場」「結末」も明確なので、まずは物語を読み込み、あらすじを書いてみた。

2、物語の「登場人物」「言葉」「色」の観点に着目し、表現や描写の面白さを読み取る
 表現や、描写を読み取る入り口として、二人の紳士をきちんととらえるために、「二人の紳士はどんな人なのかな」ということを叙述をもとに考えた。するとその後の「戸の注文について」「色彩表現について」などの読み取りにおいても人物像をおさえながら考えることができた。物語の読み取りにおいては、登場する人物をきちんと読み取ることが大切であると感じた。

3、学習のまとめに
 「注文の多い料理店」で学んだことをいかして、並行読書していた宮沢賢治の作品の「解説ノート」つくりを行った。「自分で」という部分に不安もあったのだが、児童たちは「登場人物」「オノマトペ」「賢治の伝えたいこと」「題名の意味」など、これまでなかった観点で面白さをみつけ、それを未読の友達に伝えようとしていた。

 読書が好きな児童達の読書の幅が、この学習で少しでも広がり、今後の読書生活に生かされていくように、今後も読書指導に取り組んでいきたい。
(近江八幡市立桐原東小)