国語は人間を好きになる勉強です
伊 庭 郁 夫

 11月16日、京都女子大学付属小学校教育研究会に参加した。きれいに環境整備された校舎・教室は全国からの参観者でごったがえしていた。
 ここでは「あいさつ・ことば」と「授業」の二点に絞って感想を述べる。

 まず、学校全体の取組が年々実を結び、子ども達がのびのびと大きく成長している点である。その一つの表れが「あいさつ」である。吉永校長先生自らが校門近くで、子ども達にあいさつをされ、話しかけられている光景を目にしたことがある。一人ひとりの状況を把握していないと「おはようございます」で終わってしまうところである。聞くところによると、通学する道中でも挨拶する子どもが増えてきたという。最近思うことは、無意識な行動の中に大切な要素が含まれているということである。

 第二は、教師の命である「授業」についてである。板書は、どの先生方も見事である。子ども達のノートには、板書をヒントに自らの考えが整理されている。先生方お一人お一人の精進に敬意を表したい。「神無月二十四日」と板書することで、古来からの月の呼び名の意味を考えるきっかけができる。授業力アップのための、先生方による模擬授業の取組も素晴らしい。

 そして、圧巻は、吉永校長先生自らの公開授業である。体育館ステージ上であるにもかかわらず、6年生の子ども達は、思考力、表現力を高めていた。単元は「鳥獣戯画を読む・絵を読む」である。 毎週月曜日の音読集会の成果が子ども達の自信につながっている。継続した音読練習が、説得力のある力強い声を育む。

 この音読に限らず、子どもが活動する時間が大変長い。先生は、子どもの発言が一区切りしても「それで」とつないでいかれる。自然と思考の深まりや広がりが生まれていく。また、発言を繰り返させることで、考えを確かにし、自信を持たせる。どの絵にするのかの選択肢を与え、自分の立場を明確にして発言させる。更に驚いたのが「タブレット」の活用である。自分の発表練習が各自自己評価でき自信につながる。

 授業の最後には「ありがとうございました」と子どもたちはお礼を述べる。その相手は誰で、何に対する「ありがとうございました」なのか、とことんことばにこだわったご授業であった。著書「京女式ほめほめ言葉」にある「友達の発言には宝が入っています。あなたは宝探しが上手です」「国語は人間を好きになる勉強です」に思わずうなずいた。
(大津市立木戸小)