学びを活かす「楽しい」学習を目指して
谷 口 映 介

 子どもが「学ぶ楽しさ」を感じるのは、学習を通して自分が高まった(変容した)ことや、言語を介して仲間とつながったと実感したときであろう。今回、説明的文章を手がかりに楽しい学習展開を試みた。
いきものの『かたち』はかせになろう」(「くちばし」光村1年上)。

1.学習への目的意識をもつ
 学習にあたっては、まず、知っている鳥や身近な鳥についてくちばしの形に着目して言葉や絵に表した。その際、鳥の写真や図鑑も提示しながら、くちばしへの興味付けを図った。「もっと鳥のくちばしの形やはたらきが知りたい。」という感想が多く出され、「くちばしクイズ大会」を学習の出口として設定した。クイズをするには、文の構成を捉えなくてはならない。そこで教材を詳しく読む必要性が生まれることになる。

2.思考の場を保証する
 学習に向かう姿勢ができると、学びは、くちばしそのものから文章の構成へと焦点化される。この文章は、「くちばしの形」「問い」「答え」「くちばしの役割」「くちばしの特徴を活かしたえさの食べ方」の五文で構成されている。今回はこれらの特徴に着目し、センテンスカードの並び替えを通して楽しみながら構成への気づきを促そうと考えた。並び替えた理由を交流すると、多くの子どもが次のように発言した。


◆「これは、なんのくちばしでしょう。」というのは、なぞなぞで言ったら問題になります。「これは、きつつきのくちばしです。」と書いてあるから、これが答えだと思います。だから、二つのカードをつなげました。
◆きつつきは、木にあなをあけてから虫をたべるから、「そして」という言葉があるカードとつなげました。


 並び替え(思考の場)を保証することで、子ども達は言語による表現へと向かっていった。

3.習得したことを活用する
 最後に、他の鳥でもとっておきのクイズを作って、交流する場を設定した。くちばしの形や役割を図鑑等で調べ、学んだことをもとに文を書き、くちばしと鳥の写真を見せながらクイズを出し合った。


◆さきがスプーンのようになっているくちばしです。これは、なんのくちばしでしょう。これは、ベニヘラサギのくちばしです。ベニヘラサギは、スプーンのようなくちばしを水の中に入れます。そして、池の中にいる貝をさがして食べます。

 右のような比喩表現も出され、どの子も意欲的に活動できた。この学習で身に付いた力は次の単元へとつなげていきたい。
(滋賀大学教育学部附属小)