学 校 紹 介
箕 浦 健 司

 航海1日目、夕食後に行われる「『湖の子』の夕べ」。「ふれあい体験学習」に位置づけられるこの活動では、学校紹介、綱引き大会、シッティングバレーボールや名刺交換など、児童たちの交歓・交流をめあてにしたものが実施される。この中で、乗船各校の趣向が凝らされた学校紹介を見ることが、我々所員の楽しみでもある。

 フローティングスクールは、必ず複数校での航海となる。一緒に乗船し、2日間寝食を共にする他の学校の友達に、自分たちの学校のことを知ってもらおうと様々な工夫がなされている。学校の規模など概要を発表したり、校歌を歌ったり、運動会で取り組んだダンスや組み立て体操を披露したり…。発表する子どもたちの表情は、やる気に満ちている。

 かつて自分が乗船校の立場で子どもたちを指導したことを思い出す。実行委員となった子どもたちに、自校の紹介したい内容を考えさせる。児童数、クラス数等の学校規模、児童会の取り組みや学校行事、校区の歴史や特色等。紹介する内容が決まると、それらを他校の友達に印象強く伝えるための発表の方法を考えさせる。まず、当然、話し方。相手の方を見て、大きな声で、ゆっくり、はっきりと話す。次に発表の形式。前で代表が話す箇所と、全員で話す箇所を分ける等の意見や、寸劇の発表等のアイデアが出た。最後に資料作り。発表に有効な写真集めに、子どもたちは熱心に取り組んでいた。何度も練習を繰り返し、当日は自信をもって発表することができた。

 今年度の航海にて。ある学校では、写真をスライドで見せながら、代表児童が前で紹介をする。一通り紹介が終わった後に、クイズがあった。問題は先ほど紹介した内容で、三択の挙手形式。ここで、他校の友達が正解に手を挙げてくれたら、自分たちの紹介がしっかり伝わっていたことになる。聞き手は、紹介をしっかりと聞いていなかったら、クイズに答えることができない。この航海では、ほぼ百パーセントの正答率。話し手は伝えたい内容を相手に伝えることができた、聞き手は大切なことをもらさずに聞けた、ということになる。先に発表した学校の話し方が素晴らしいと、次の学校の児童への刺激にもなる。1校僅5五分程度の持ち時間だが、お互いを高める機会にもなっているのである。

 この学校紹介の時間は、「話す・聞く」の実践の場なのである。フローティングスクールでの取り組みということで、事前の指導はもちろん行われているだろうが、やはり日々の積み重ねが発揮されるということを実感する。県下各校の先生方が、
「行事があるから取り組む」のではなく、
「日々の実践で身につけた力を、行事等で発揮させる」
という思いで日々の指導にあたられているとことを実感できる時間なのである。
(びわ湖フローティングスクール)