博物館での感想文
蜂 屋 正 雄

 琵琶湖博物館で行っているオプショナルツアー、体験学習の感想をアンケート形式で集める新しい方法を試みた。高学年の理科でよく行っていた方法であるが、博物館の学習でも有効なことがわかった。

 琵琶湖博物館では、毎月第2、第4土曜日には、「琵琶湖博物館わくわく探検隊」という、親子を中心ターゲットに琵琶湖博物館の楽しみ方を紹介するワークショップを開催している。内容は季節の植物採集に出かけたり、工作をしたり、ゲームを作ったりといったもので、毎回、楽しく活動をしている。また、見学のオプションとして、琵琶湖博物館や琵琶湖の環境について講義をさせてもらうことがある。

 それらの活動は、ご家庭で思い出話をしてくださったり、各学校でその後の学習に活かしてくださったりしているものと思うが、感想を聞かせてもらう機会は少ない。感想も「楽しかった」「上手にできて良かった」というものが多く、こちらが伝えたいことがどこまで伝わったかはなかなか見えてこない。

 「言葉」ということに注目すると、人は書くことで、体験で得た自分の考えに気づいたり、自分のこれまでの考えを再構築したりすることもあるのではないかと考える。そこで、感想を書いてもらいながら、自分の体験したことを再確認し、また、できれば、ふりかえりながら体験を自分化できる方法として、理科の学習時に実施するキーワード感想文を書いてもらってみた。

 わくわく探検隊の自由記述のアンケートに、主催者側の「伝えたいこと」をキーワードにして、アンケートをとったところ(例えば「ブルーギルの解剖にチャレンジ」では「外来魚」「胃」「食べているもの」)、14人の感想にキーワードが含まれる記述があった(32回答中)。4/27の春の草花でしおりをつくろう、9/22の琵琶湖の模型をつくろう、でもキーワードを入れるアンケートを行った。1年さかのぼって統計を取ると、

 キーワードあり 42.65%(29/68)の人が内容についての記述
 キーワードなし 14.97%(28/187)の人が内容についての記述

 親子、孫と祖父母の組み合わせで、子どもの大半が6歳以下(祖父母代筆)であることを考えると、ただの自由記述のアンケートを取るよりは有効な情報を得ることができた。(ちなみに「楽しかった」など、肯定的な感想は共に90%以上。)

開いたらどれが胃なのかわからなかったけれど、教えてくれたのでわかりました。胃には、かいそうがたくさん入っていました。腸はすごく黒くて中にかいそうがたくさん入っていました。いろんなものを食べているんだなと思いました。
 子どもたちは、キーワードを入れて自分の感想を書こうとしながら、実験や体験で感じたり、聞いたりしたことを言語化することで、体験を自分化、概念化することが出来たのではないかと思う。
(琵琶湖博物館)