物語文の教材研究 「サーカスのライオン」(東書3年)
藤 井 隆 一

1、物語文を読む
 物語文の誤読例として、「ごんぎつね」で、「ごんは、始めから良いきつねだった」とか、「ニャーゴ」では、「ねこは、始めから良いネコだった」などがある。これらは、どれも、物語文の設定部分の人物の心情が読み取れていない。
 物語文を読む時の視点として、「時」「場所」「登場人物」「出来事と心の動き」を捉える事が大切である。
 「登場人物」と「出来事と心の動き」を捉えるためには、登場人物相互の人間関係、心情とその動き、出来事が心情にどのような影響を与えたかの視点で読むことが大切である。

2、気持ちを表す文の読み取り方を指導する
 「サーカスのライオン」の登場人物は、ライオンのじんざと男の子。そして、ライオン使いのおじさん、サーカスのおしまいの日のお客である。中心人物はじんざである。
じんざの気持ちを読み取ることが主な学習活動では、まず、場面を確かにする必要がある。
 気持ちの読み取り方は、1年生から行っているが、3年生では、気持ちを表す文を見つけることが大事である。
 そのために、まず、じんざが主語になっている文を見つける学習に慣れさせる。
 次に、会話文や述語から気持ちを表す言葉を見つけさせる。
 会話文に直接気持ちが表れている文がある。「外はいいなあ。星がちくちくゆれて、北風にふきとびそうだなあ。」
 述語に気持ちが表れている文もある。「じんざは、ぐぐっとむねのあたりがあつくなった。」
 述語の前の言葉に気持ちが表れている文もある。「ライオンのじんざはうきうきして外へ出た。」
 行動で気持ちが理解できる文もある。「じんざは、もうねむらないでまっていた。」「うとうとしていたじんざははね起きた。」
 一文でなく、複数の文から気持ちが理解できる文もある。会話文では、「たいくつかね。…」「そうともさ、毎日同じことばかりやっているうちに、わしはおいぼれたよ」。
 地の文では、石がきの上のまどから首を出したじんざは、思わず身ぶるいした。高いので、さすがのライオンもとび下りることはできない。
 これらは、言葉を示して気持ちを考える学習より、意欲が湧くであろう。
(栗東市立治田小)