教 師 の 仕 事
杉 澤 周 一

 都合で、教頭が1年の学級担任の代わりに、「かぞえうた」の音読と漢字学習を進める機会があった。子どもたちが混乱しないように事前に、いつもの進め方を確かめ,ほぼ自習のように学習する子どもたちを支援するよう打ち合わせをしておいた。とはいえ、教室に行くと教師の虫がさわいだ。

 「かぞえうた」の音読から始める。”いつものように”一斉に読ませたが、教師の出番と感じ「今度は先生と一緒に読んでみよう。一つずつ、先生が読んだ後、同じような読み方でついておいで。」 T かぞえうた。(と弾んだ声で)
C かぞえうた。
 明らかに子どもの読みが変わる。楽しそうに声が弾んでいる。2回目は、「少し早く読んでみようか」「うん!」 さらに声が弾む。最後は自分たちだけで。
 詩のリズムに乗せて正しい口形で発音で音読させる学習には教師の仕事が要る。自習の支援ではままならぬ。

 漢字学習は、ドリルと漢字学習ノートがあった。自習で「いつものように自分でやりなさい」「どんどん進んでいいよ」ではなくやはり授業として進めたい。でなければ、学習ノートやドリルにしたがって、機械的に字を埋めていくだけになりそうだ。
 学習ノートで「二」をなぞる前に、二画目が、左や右に寄りすぎている字や一画目にくっつきすぎたり離れすぎたりしている字を板書する。「どこが変なのかな?」と気づかせる。次は、”とめる”ことを留意点としているので、とめていないだらしない「二」を板書。そして、「いいち、短く、とめる。にいい、ながあく、とめる」と言葉を充てて板書。そして一斉に学習ノートに「いいち、短く、とめる。にいい、ながあく、とめる」と唱えながら、いっしょにマスに書いていく。
 その日の家庭学習を思い浮かべてみる。音読は、教室の教師と皆の声の記憶と響き合い弾んだ声で読めるといい。「二」を練習するとき、「いいち、短く、とめる。にいい、ながあく、とめる」と教室と同じように唱えながら一人の力で正しく覚えているといい。

 ふと、自習のような、あるいは支援ばかりの授業が多くなってはいないかと思った。日常の授業において、地道なプロの教師の仕事がもっと要るように思う。授業には、教師が意図した出番がいくつかあるものだろう。
職員室に音楽の授業の歌声が聞こえてきた。労務員さんが,「ああ,学校らしいな,いいなあ」と言われた。同感。同じように、先生にリードされた一斉音読の弾む声が毎日、あちらこちらから聞こえてくるといいのにと思った。
(東近江市立玉緒小)