▼当たり前に見える出来事にもいい話がある。ちょっといい話が。

▼(その1)1年生の子が90度を超え、ランドセルが背中から滑り落ちるくらいお辞儀をして、大人を驚かせることから始まった朝の挨拶。玄関前から教室の中でも広げたいと思った。教室へ入るとき、大きな声で「おはようございます」と言う。教室の中の子がそれに応える。簡単なことのように見えるが全校の教室でできるようになるには時間がかかった。挨拶をしても声が返ってこないのは、教室の中にいる友達に響く声になっていないことに気づくのに時間を必要とする子がいる。自分で気づいて欲しいとじっと待つこともしばしば。どの教室も、「おはよう」と「おはよう」を響かせようとする努力の形がさわやかだった。

▼(その2)図書館が人気。担任の読み聞かせや本の紹介が子どもたちの足を図書館へ運ばせる。「先生が読んで下さった本がおもしろいから」という子が多い。「友達に勧められ、自分でも読んでみたいと思ったから」と友達が読書の動機にもなる。ところが、約束が守れない、本が乱れるという出来事も増える。図書館のピンチである。乱れたように見える状態を、子ども達に伝えた。その日からしばらく、図書館として望ましい状況に変化した。回復力の速さがうれしい時であった。(吉永幸司)