世界一心のあたたかい学校を
伊 庭 郁 夫

 4月大津市の木戸小学校に転勤となった。比良山麓に位置し全校児童数288名の小学校である。
 教職員の名札には、赤字で「世界で一番心のあたたかい木戸小をめざそう」と印字されている。この目標は、昨年度児童会で話し合って決まったものだそうだ。

 4月8日、新任式で子どもたちと体育館で初顔あわせをした。それほど多くない児童数だが、校歌などは、体育館中に響き渡る力強いものであった。
 「よろしくお願いします」と挨拶すると、すかさず「よろしくお願いします」と元気な声が返ってきた。「みなさんの返事を聞いて、本当に世界で一番心のあたたかい学校にできるのではないかと思いました」と思わず口に出た。

 大津市内では、本年度各学校に「いじめ対策担当教員」が配置され、取り組みが始まっている。木戸小学校では、担当教員の呼び名を「あたたかい学校づくり担当」とし、PTA総会や学校協力者会議で紹介している。担当者は、音楽科や家庭科で各教室の授業を担当し、子どもの姿を把握する。

 人権を大切にし、いじめのない学校・学級づくりを進める。そのために、3つの観点を設定する。
1 お互いの良い所を見つける。
2 自分の思いを的確に伝える。
3 相手の気持ちを考えて行動する。(自分大好き、友だち大好き)

 1点目のお互いの良い所を見つけることについては、道徳で「友だちの良いところを見つけよう」などの学習がよくされる。六月の学習参観は、全校道徳である。人命尊重や思いやりなどについて考える。
 2点目の自分の思いを的確に伝えるのは、国語科の役割である。口頭や文章で自分の思いを的確に伝えるのは、なかなか難しく誤解を与えないようにしなければならない。「先生、おしっこ」「先生はおしっこではありません。何と言えばいいでしょう」のような指導が欠かせない。
 3点目の相手の気持ちを考えて行動するは、言うは易く行うは難しである。

 5・6年生の健脚遠足は、JR湖西線の志賀駅からびわ湖バレイの山頂1300メートルの打見山まで登るものであった。途中で、弱音を吐く児童も一部に見られたが「あと少し」「がんばろう」など励ましあって100名を超える全児童が登り切ることができた。中には、先生を励ましている児童がいたそうである。ふだん、自由な行動をとりがちな児童も自信を持った様である。一人ひとりの成長を願い私自身も心のあたたかい人間を目ざし、精進したい。
(大津市立木戸小)