▼ちょっとした言葉の遊びをした。教材は「ウナギのなぞを追って」(塚本勝巳・光村4年)文章は「今年もマリアナの海にやってきました。日本から真南に二千キロメートル、周りに島一つ見えない海の真ん中です(図1)」から始まる。図には、日本、台湾、マリアナの海の記述がある地図。地図には1000qを単位にした縮尺を示している。日本中のウナギが集まってきて、いっせいにたまごを産む場所であるという説明が続く。

▼何が書いているのだろうということに関心が強いので、少々の読み間違いも気にならない。ところが、「ここがその場所と分かったのは、つい最近のことです」に続いて「調査が始まったのは、一九三〇年ごろのことでした」の文章。ところが音読で、「二〇三〇年」と読み間違えた。とたんに教室が動いた。当然である。

▼この動きを他のところにも波及したくて、最初の文を「日本から真下に二〇〇〇メートル、周りに島が見えない海の真ん中です」という文章を提示した。最初は、間違い探しの軽い気持ちだった。しかし、子ども達は強い関心を示した。最初の段落だけであったが、「たまごを産む」「ここで生まれてウナギのあかちゃん」「調査と検査の違い」など。

▼文章の入り口の言葉遊びであったが、その後の学習では、表記や年代にも心を配って読む子が増えた。(吉永幸司)