![]() ▼巻頭は「お正月」の詩。お正月は毎年おばあちゃんの家に/親せきみんな集まる/今年は全部で二十六人/それに今年は/ちょと特別なお正月/おばあちゃんは八十八歳/米寿のお祝いも一緒にするからだ(略)八十八歳から一歳まで/二十六人集まって/とても幸せな時間/これからもずっとずっと/続きますように ▼八十八歳や二十六人という数にも驚くが、きめこまかに散りばめられた詩の言葉にも心が動く。先ず、「毎年」特別なことでなく去年もその前も、毎年のこととさらりと表現できるこの作者の家庭や親戚の絆を感じる。「親せきみんなが集まる」の「みんな」は、家族の日常会話であろう。「去年は二十八人だった。今年は何人だろうね」「みんな集まれるだろうか」など年末になると生まれる会話。最初の数行で「幸せ」を感じる。子や孫、ひ孫に囲まれたおばあちゃん、いとこ同士の会話、おじさんやおばさんの様子など想像が広がる。詩から楽しさを想像するが、嬉しいのは最後の「こらからも」の結び。完結でないところがうれしい。 ▼記念詩集は作者の豊かな心を感じ、幸せな気持ちになる作品が溢れている。(吉永幸司) |