読み聞かせを広げよう
森 邦 博

 1月31日(木)近江八幡市の学校図書館部会の研究会に参加。
 公開授業は「昔話を楽しもう」(1年・国語科)であった。

 「三まいのおふだ」の絵本を投影して読み聞かせが始まる。すぐに皆の視線が本に向う。
 山姥から逃げようと小僧さんが1枚目のお札には代わりに返事してもらった。しかし、すぐに山姥にばれてしまう。2枚目のお札を投げると今度は大きな山が現れる。でも…。
 小僧さんに繰り返し危険が迫る、子どもたちは「あっ」「わぁー」と本の世界に入り込んでいる。
 すると先生が本を閉じてしまい、
「このあとどうなると思うの。」
「3枚目のお札があるもん。」
「大丈夫逃げられる。」
と口々に発言していく。そこで先生もそれに乗って、
「3枚目のお札は、どう使ったら逃げられるかなあ」
と投げかけた。すぐに挙手多数。ほとんどの子が言いたく思っている状態になったのを確かめ、先生は机の中から袋を取り出す。そして袋から恭しくお札を取り出した。
「みんなが小僧さんを助けるために、このお札に出したいものを書きましょう。理由もしっかりと書いてください。」

 子どもたちは、お札の紙をもらうとそれぞれ書き始める。しかし中には迷ったりする子、理由を聞かれて戸惑う子。ここで先生の机間指導が始まる。ここで躓くことを予想をしてのことだろう。個別指導の時間と実態把握をうまく確保しておられると感心。
 書けたら、4人グループで見せあいっこ。その後みんなに発表。
「雷落ちろ。」と書いた子は、雷が山姥に落ちて助かるから」という理由。
 発表を聞いた先生は「なるほど」と肯定するがすぐに、「でも山姥は死にません。またまた追いかけてきました〜どうする」と、次々に指名しては「でも山姥は死にません〜どうしよう」と繰り返された。子どもたちも必死に発表をする。「三まいのおふだ」の本の世界を全員で体験して楽しんでいる。
 授業のねらい達成は子どもたちの姿に読み取れた。参観者も思わず楽しい気持になったのだった。

 研究会では、読み聞かせが話題になった。その中で、校長先生も含め全員が曜日を決めて、読み聞かせをしているという学校の報告に注目した。
 その当番表を図書館担当が作るのだそうだ。まさに学校ぐるみ。「数年続けているので、読み聞かせによい本を紹介し合う雰囲気が自然に生まれてきています」との報告に全員が納得。
 この雰囲気を近江八幡の全小学校、いや中学校にも広げようという頼もしい結論になった。
(大津市中央公民館)