「じゃんけんやさん」の学習
三 上 昌 男

 本校では、「言語力を高め、豊かに人とつながる子どもの育成」をテーマに校内研究に取り組んでいる。めざす子どもの姿(身につけさせたい言語の力)を明確にした授業作りに努めている。
 1月には、1年「『じゃんけんやさん』をひらこう」(東京書籍下巻)の授業研究会を実施した。

 1年生の3学期、これまでの学習の積み重ねが生かされ、力を伸ばす時期である。「聞き方名人あいうえお」「おはなし名人かきくけこ」とまとめた教室掲示を行い、繰り返し唱えながらよい話し方・聞き方を意識して学習を進めてきている。学習規律と言語力に関わるよいしつけが、質の高い伝え合いのための基盤となっていることを確認できた。
 単元計画では、全体で学習の見通しを持った後、じゃんけんの決まりを理解する学習を教材文を通して行っている。そして、1人学習とペア学習を取り入れて新しいじゃんけんを考える学習を展開し、2人で1つのオリジナルじゃんけんを決め、説明する資料を作成し、説明の仕方を練習している。 2人で1つのじゃんけんやさんを開くことにしたのは、お店屋さん側とお客さん側を交代しながら、説明の練習ができることからである。説明の言葉も、一緒に考えながら仕上げることができる。

 また、1人がお店を開いている間、もう1人がお客さんになって他のお店を回ることができるからである。お店の数が多いことから、繰り返しじゃんけんやさんを楽しむことができる。
本時は、じゃんけんやさんを開く学習を参観した。どの子も本時を楽しみに準備を進めてきたわけだが、説明が相手に理解されない場面も出てくる。そんなとき、聞き手が話し手に近づいて丁寧に聞き取る姿が見られた。話し手が説明の図を見せながらゆっくり説明する姿も見られた。お互いにじゃんけんを楽しむことに向けて、協力している姿が認められた。
 子どもたちは、相手が代わることで、毎回新鮮な気持ちでお店屋さんとお客さんを楽しんでいた。 初めての説明に苦労していた子どもも、3回目になると、スムーズに説明できるようになっていた。繰り返しの中で、話す・聞く技能と自信を育てる仕組みができていたと言える。

 学習のふり返りの場面では、お客さんの顔を見て説明できていたたことや、大きな声で説明できていたことを評価する言葉が子どもから聞かれた。また、分かりやすく説明してくれたので、じゃんけんやさんを楽しむことができたと評価する子どももいた。
(近江八幡市立桐原東小)