解きほぐしの授業 「手ぶくろを買いに」3年
藤 井 隆 一

(1)解きほぐしとは
 単元のねらいを達成させるために、ある教材を子どもに与える。与えた教材は、子どもの力だけでは読めない部分があろう。その部分を、理解させる必要がある。それを、解きほぐしということにする。

(2)単元構想
 これまで、子どもたちは、「ゆうすげ村の小さな旅館」で、「いつ、どこで、だれが、何をした」や出来事を読み取りあらすじを書く学習をした。また、「サーカスのライオン」では、会話文や地の文から気持ちが読み取れる言葉に線を引かせ、気持ちを想像させた。
 本単元では、これら2つの学習の活用の場とし、ねらいを、
○場面の様子(誰が、何をしたを基本とする)や人物の気持ちを読み取る。
○読み取ったことをくふうして音読する。
に設定した。

(3)実践
 本時に至るまでに、一文ずつ教師が範読し、子どもが追いかけて読む追っかけ読みをさせた後、わからない言葉を辞書で調べさせた。
 本時、与えた課題は、3つ。
○むずかしい言葉やわからない所をなくす。
○気をつける言葉やふだんあまり使わない言葉に線を引いたり、書き写したりする。
○その段落に何が書いてあるのか説明する。(いつ、どこで、だれが、何をした)
 これらの課題を板書し、1文ずつ音読させ、教師と子どもの対話形式で進めた。

(4)授業の子どもの姿
T 「寒い冬が、北方から、きつねの親子のすんでいる森へもやってきました。」とありますが、いつのことですか?
C 冬。
T どこのことですか?
C 北の方。

(4)考察
 物語文は設定を正しく理解させることが何より大切である。
 子どもたちは、場所を北の方と読み間違えていた。3年生も終わりのこの時期、多くの子どもが「森」と答えると思ったが、「森」と答えた子は1人もいなかった。解きほぐしの大切さを実感した瞬間であった。
 課題を明確にしたので、35分間教師との対話形式の授業が成立した。しかし、単調な授業となったので工夫、改善が必要である。
(栗東市立治田小)