言葉を増やす・言葉を深める(2)「俳句を」
吉永 幸司

4 教材の俳句について
@俳句の選定について
 教材をどう作るかということを考えた。選択肢として3通り。誰もが知っている名句を鑑賞する。自分たちの俳句から選句する。その他。この中でその他の方法を選んだ。感想を交流する目的を実現するには、様子が描きやすい作品がよいと判断したからである。

A選句集に掲載した俳句
1.ポケットの往復切符秋うらら
2.耳遠し大声どうし小春かな
3.合格し母に合図の円描く
4.一電車見送るベンチ花の駅
5.初雪でかんじのしゅくだい字がおどる
6.雪の山白い絵の具がこぼれたよ
7.チケットは即日完売春隣
8.手をあげる練習もして入園す
9.花すみれ踏めばしあわせこわれそう
10.ブランコやむかしは空をとんだいす
11.秋風のシュートをきめたほほをふく
12.あかとんぼみていてぼくもかるくなる
13.足先が刃物となりし冬の夜
14.カマキリの鎌枯れ色の風とる
15.花火見て隣の母をもきれいに思う
16.いもうとのおむつとれるか夏休み
17.もみじのはちらちらおちるあめみたい
18.ふるさとの村に鍵なし秋の蝶
19.雲の峰骨あるごとく立ちあがる
20.口中に海のひろがる秋刀魚かな
21.かたつむり五センチ程の旅の跡
22.もう一度叱られたくて墓洗ふ
23.つまさきに寒さあつめて登校路
24.霜柱踏むとピアノの音がする
25.シュワシュワとのどが騒ぐよソーダ水
26.春の日や池にもひとつ金閣寺
27.弟が欲しいと思う子供の日
28.聞かぬふりして聞いている懐手
29.まっすぐに貼られし切手夏見舞
30.あさがおがぬりえのようにさいている

B選句集の意図
o選句集俳句は、小学生から俳句結社の主宰までと作者の年齢、作品を作る経験の幅が広い。
o作品はコンクールで特選や佳作という評価を得たものである。分かりやすいものにした。
o作品の数を30句にした。多くの数の中から自由に選べること。作者や年齢を伏せたのも、好きな俳句を選ぶ楽しさを得させたいという考えからである。
(京都女子大学)