▼教科書の説明文の題名を読んでみると次のことに気づく。それは、題名から内容が予想できるものとそうでないものである。たとえば2年生の教科書には、「たんぽぽ」と「たんぽぽのちえ」がある。違いは指導内容であろう。この他にも、「ふろしきはどんなぬの」や「しかけカードの作り方」などは、分かりやすい題名である。

▼興味を持ったのは、「虫は道具を持っている」(東書2年)である。「木のみきに、円いあなが空いています。いったいだれが空けたのでしょう。答えはカミキリムシです。木のみきの中でそだったカミキリムシは、大きくなると、するどい大あごでみきをかじって、あなを空け、外に出てきます」という文章が第1段落、第2段落とと続く。続いて、カミキリムシの大あごは人間のドリルと同じ働きをしているという説明につながる。

▼文章内容も構成も分かりやすい。分かったこと、初めて知ったことを学習内容に仕立てあげると興味がわいてくる。が、少し見方を変えて、「虫・道具・木の幹・円い穴・幹の中で育つ」などに問題意識を持つと、文章の面白さが広がってくる。カミキリムシの幼虫のときはどうしているのだろうかというような疑問が生まれてくるからである。

▼説明文を読んでいると育てたい力の明確化を強く感じるこの頃である。(吉永幸司)