第17回「新しい国語実践」の研究会千葉大会
「読むこと」分科会で
森 邦 博

 12月26・27日、新しい国語実践の研究会(須田実主宰)千葉大会に参加した。研究協議主題は「思考力・判断力・表現力を高める言語活動の充実と評価―評価規準と評価の実際―」である。全体会で大会実行委員長の野口芳宣氏が、主題解題で、評価が言語活動の評価にとどまっていないか、言語活動のできばえや結果に目が向きすぎていないかとの危惧があることに触れたことに、同感な部分があった。

 私が助言を担当した「読むこと」の分科会での3本の提案のうち小学校の2本は、複数教材を読み比べる活動を通して身に付けた言葉の力を実生活に生かそうというもの。中学校の1本は、朗読を通じて内容理解を深める実践提案であった。
 複数教材を読み比べる教材は、学習指導要領が変わって新しく教科書に登場した。が、読み比べという言語活動をやればよいというのでは「言語活動」のための活動提案になる。「授業のねらい」と「手段や手だて」の逆転があってはならない。学習指導要領「言語活動例」にも「(1)に示す事項については、次のような言語活動を通して指導するもの」として言語活動例が列記されている。「(1)に示す事項」とは、国語科の「指導事項」そのものである。子どもが言葉の能力を身に付けるのが授業の目的。言語活動に偏りすぎることには注意したい。助言の柱の一つ目。

 二つ目の柱は、教室の授業の目的には、教科の内容の確かな定着と自立的な学習者(学習集団)を育てるという二面性がある。授業記録では、主に教師の発問と児童の発言が記録されるが、児童相互の学び合いが読み取れるものであって欲しい。問いも教師からのみならず児童の側から課題や疑問・問題が生まれ、協同して追求する姿がある授業であってほしい。そんな思いで記録を読み、助言に臨んだつもりである。

 三つ目の柱は、積み上げる授業ということである。光村図書5年生の第1単元15ページの「四年生までに学習したことを確かめよう」を取り上げた。「四年生の国語の勉強でどんなことが大事だとわかったの、出来るようになったの」と問うたときにどう答えられる子を目指すのか、指導観・学力観を学年・学校で共有してほしい。その学校のカリキュラムの系統性・継続性・計画性が確立することが大切であるのではないだろうかとの主張である。その上で日々の具体的な教材を通して一人ひとりが力を確かにつける学習活動の積み重ねと評価を大切にしたい。

 これが私なりの主題解題である。
(大津市中央公民館)