本棚  ねえ、どれがいい?
ジョン・バーニンガム さく まつかわまゆみ やく
評論社 1983.12 1300円
ねえ、どれがいい?

 初めて読み聞かせをする学級で最初に取り上げることにしていた本である。なかなか静かにできない1年生の子どもたちでも惹きつけてしまう力を持っている。

 1ページ目「もしもだよ」男の子と犬がドアの開いた玄関先に立っている絵。2ページ目「きみんちの まわりが かわるとしたら」2階建ての家と車庫、電柱と家の前の道。「大水と」家の周りは水で男の子と犬はひっくり返った机に乗っている。車が水没し、椅子やベッドが浮いている。3ページ目「大雪と」雪かきをしている。「ジャングルと」木が生い茂り、シマウマやワニがいる。「ねえ、どれが、いい?」
 ここで三択である。子どもたちに選ばせる。理由も聞いてみると、子どもたちは口々に言い立てる。頃合いを見て次へ進む。

 例えば、「おしろで食事」「気球で朝ごはん」「川でおやつ」のようにどれも楽しそうなものもあれば、「くものシチュー」「かたつむりのおだんご」「虫のおかゆ」「へびのジュース」のような選びたくないものもある。「どれもいい」「どれもいや」を認めないで、無理矢理でも一つを選ばせると楽しめる。
 わいわいがやがや言いながら、本のおもしろさが満喫できる1冊である。
(常諾真教)