職員室に入る時 〜拠点校指導外伝〜
高 野 靖 人

 拠点校指導をしていると、毎日勤務校が変わる。一週間で四校に勤務することになり(残り一日は本務校で事務をする)。それぞれの学校の職員室に私の机があり、給食セットも四つ置いている。
 それはともかく、職員室で事務をしている時、その学校の子どもが用事があって職員室にやってくる。職員室の入り方など、学校によって微妙に異なることに気付く。ドアを開けて、「失礼します」と言うのは、ほぼ共通している。その後、例えば用事のある担任の所へ進んでいき、担任の席で用事を済ます学校がある。即ち、子どもが職員室に自由に入れる学校である。昔は、こうした学校が多かった。しかし、最近は少数派である(私の勤務校では、一校のみ)。他の学校は、子どもは入り口で止まって、用事のある教師に声をかけ、教師が入り口まで足を運び、用を済ます。子どもが職員室に勝手に入れない学校である。
 例外として、欠席黒板に学級の欠席人数を書くため、また掃除などで鍵を借りる場合のみ入ることのできる学校もある。しかし鍵も職員室にいる先生に頼んでとってもらう学校もある。私も兼務校で鍵を頼まれることがあるのだが、「家庭室の鍵を取って下さい」 としか言わない子どもが多い。何年何組のだれが、何のための借りるのか、こちらが質問しなければ話してこない。

本務校では、一学期の途中から教務主任が職員室の入り口に次のような張り紙をした。
 【職員室に入るとき】
入り口で
@あいさつします
 「しつれいします」
A名前を言います
 「○年○組△△△です」
B用事を伝えます
 「××室のカギを借りにきました」
 「△△先生に用事できました」
 「欠席を書きにきました」など

中では
C静かに用事をすます
Dあいさつをします
 「しつれいしました」

 もちろん、事前に職員会議で提案され了承されてからの共通実践である。当然、学年に応じた指導が各学級でもされ、職員室でも管理職や教務を中心に具体的な指導が継続されている。その結果、二学期になると、「失礼します。一年○組の△△△です。欠席を書きにきました」と低学年の児童もかわいい声でもしっかり話せるようになり、「どうぞ」と声をかけられてから職員室に入るようになった。形式的かもしれないが、こうしたけじめは、学校生活のメリハリになり、言語意識の高まりにもつながる。
(大津市立仰木の里東小)