▼パソコンや携帯電話のメール機能を使うことで「漢字を正確に書く力が衰えた」と感じている人が66.5 %に上るという。これは文化庁が発表した「国語に関する世論調査」でわかったこと。この他、「手で文字を書くのが面倒」と感じる人も4割を超える。直接人と会って話すことが面倒と感じる割合も多い。「こうした傾向はさらに広がることが確実で、子供が日本語能力を身につける上で深刻な課題」と記事は結んでいた。

▼スマホやタブレットを活用することになり、新聞や雑誌を読む機会が少なくなった。漢字を忘れてしまったという声を聞く。国語に関心がある教員仲間でもこの会話は日常的。漢字が書けない、書く力が衰えたというのは思考力の衰えであり、国語を愛する心の脆さにつながる。

▼言語力の脆さや衰退につながるかどうか定かではないが、保護者との対応で感じることが多い。学校で起こったトラブル。子供同士の間では解決していることでも「私が納得できないから」と言って説明を求められる。十分時間をとっても、一つでも自分の筋道を違うと話は振り出しに戻る。知人などの話題でうなずき合うのは、少し前は「子供同士の出来事ですから」「うちの子にも非があったのでしょうから」という言葉があったこと。今は?

▼調査では敬語の使い方では77%。少し救われる。(吉永幸司)