人物と自分を比べて読む  わたしはおねえさん(2年光村下)
吉 永 幸 司

 読書の楽しさは自分だったらどうするだろうかと考える時である。人物と自分を比べて読む活動を、「わたしはおねえさん」(光村2年下)で考えてみた。

1 登場人物を確かにする
 お話を楽しく読むには、先ず、登場人物がどのような人かということの理解が大事である。次に、主人公が誰であるか、さらに、どのような出来事がおこったのかを正しく読み取ることである。
 教材「わたしはおねえさん」の登場人物は、すみれちゃんとかりんちゃん。すみれちゃんは歌を作 るのが好きな2年生。かりんちゃんは、すみれちゃんの妹であることを確かにする指導から始める。

2 「お話したいこと」を探す
 学習の手引きには、「すみれちゃんのしたことやいったことで、心にのこったことばや文を、カー ドに書きぬきましょう」という活動を示している。
 自分と比べる活動へ導くとすれば「心に残ったこと」という抽象的な指示より、生活を思い出させる問いかけがいい。
○すみれちゃんは困っただろうな。しんぼうしたのはえらいな。私のうちはそうではない。
○妹がいるとこういうこともあるのだな。でも妹か弟がいたらいいな。
○「あはは」ってどうしてわらえるのだろう。わからない。
 自分と比べる読みは、最初は事柄に関わるものが多く出る。この段階で論拠をただしたりすると話 し合いが限られてくる。何でも話せる雰囲気を作りながら、文章の後半へ読みを焦点化し、姉らしい ところと妹らしいところを読み分けると楽しくなる。

3 発言の評価を適切にする
 文章で考えさせたのは、出しっぱなしのすみれちゃんのノートに妹のかりんちゃんが何かを書き始 めた時のこと。「半分ぐらいは泣きそうでした」という状況であろう。さらに、けしゴムで消そうと して思いとどまったところは、自分の日常と比べると話題は広がっていく。子どもの発言を広げるに は、次のような働きかけや考えを引き出す言葉(助言)は効果がある。
○私だったらできないことが、すみれちゃんはできた。そのことを文章から探しましょう。
○かりんちゃんのような妹がかわいいのはどんなところでしょう。かわいいと思うところはいくつ  ありますか。
○「ふたりはたくさんわらった」ことにつながることばを3つ見つけましょう。
(京都女子大学)