▼国語科の授業では言葉を自在に使える子どもの育成を目指す部分がある。自在という言い方は誤解を招きやすい。指導要領の言葉でいえば、適切に表現するであろう。適切に表現するには、語彙を使える力が必要になる。例えば、感想を述べる。面白いとか楽しいという言葉をつないで語っても、適切さには距離がある。

▼適切に表現するには、具体的に語ることである。抽象的な言葉は、耳障りはよい。が、言葉が覆う範囲が広いのでなんとなくよいことを言っているような気分になるが、明確に伝えようとすることがはっきりしないことが多い。事実を丁寧に話せる力が必要である。「例えばどういうことなのか」と具体を引き出す問答を子ども同士がやりとりできる指導が必要である。

▼言葉というのは、いくら語と語を紡いでも真実を伝えることには限界がある。そのことを理解させるに時間が必要である。「少しも分かってくれない」というのを聞くことが度々ある。問答においては、「このように、理解をした」と内容を説明できる力が必要である。

▼理解したこと、理解できていないことを知ることも必要である。表現する文は短い方が効果がある。文を短くするには文末を意識することにつながる。教室の言葉は日常生活につながるのである。適切な表現は文を意識することであろう。(吉永幸司)