[特別寄稿]
学級のルール作りの大切さ
岩 崎 千 佳

 チャイムがなっても教室に戻らない。連絡帳に時間割を書くと「算数いやや!かえてや!」という声、学校のきまりについて話すと「なんでそんなん決められなあかん!」等、学校でのルールを気にしない子どもたち。子どもたちが学校という場で学習をすることを間違えていると気づいた時があった。学習規律や集団生活をする上での大切なルールをと教えていかなければいけないと痛感した日であった。

 そこから、一つひとつの集団生活での決まりについて懇々と話し、徹底していく日々が始まった。例えば、チャイムをなぜ守らないといけないのか。チャイムは、授業と休み時間の切り替えの合図。言葉も丁寧に話す時間。チャイムが鳴って授業が始まっているのに遅れて入るのは、もうすでに作られている授業空間をじゃましてしまうことになる。だから遅れてはいけないし、遅れたら「遅れてすみません。」という言葉が必要である。ましてや、前の扉から入るとはとんでもない。じゃまにならないように静かに入る。また、授業というのは新しいことを知ったり学んだりする時間。だから、みんなが授業を受ける前より受けた後の方がかしこくなっている。そうやってみんなが力をつけて成長できるように、授業の予定は先生が考えて組むものであり、やりたいものをやれるものではない。

 このような話を繰り返す中で、子どもたちはチャイムをきっちりと守るようになってきた。遅れてはいけないという意識が強く見られる。授業中は、きちんと丁寧な言葉で自分の考えを伝える。また、授業では新しいことを学び、毎時間書いている授業後の「ふりかえり」からは、「○○がわかるようになった。」「~できるようになった。」という感想が見られるようになった。

 このように、学校というところは、集団で生活をする場であり、みんなが心地よく過ごせるために守るべきルールがある。また、みんなで協力し、助け合い学び合うことで成長していくものである。そんな感覚が、だんだんと浸透していった。この年度の終わりには、「この一年でかしこくなった。」「みんなで心を一つにしてがんばることの大切さがわかった。」などの感想が聞かれた。学校は、自由にただ楽しく遊ぶという場ではない。守るべきことは守り、何事にも一生懸命取り組み、達成できたときの本当の楽しさを味わえるように進めていく。それは、教師の大切な任務ではないだろうか。
(堺市立平岡小学校)