カッター活動
箕 浦 健 司

 フローティングスクールでは、6月から10月末までをカッター期としており、多くの航海でカッター活動が実施される。カッター艇に乗り込んで、雄大な琵琶湖へ漕ぎ出していく。子どもたちに人気の高い活動であり、乗船前から期待が高まっているようである。
 反面、命に関わる危険とも隣り合わせの活動でもある。また指導者は、長く重いオールを子どもたちに正しく漕ぐよう、さらに最大八名で息を合わせて漕ぐよう指導しなければならない。指導者として各艇に艇長、副艇長が乗艇するが、艇長は、びわ湖フローティングスクールが実施する艇長資格実技講習会を受講し、資格証を取得する必要がある。

 今年度は、5月と7月の2回、それぞれ2日ずつ講習会を行った。室内での講義の後、実技講習を行う。救命胴衣を身につけ、所員の指導のもと、艇長の指導内容について講習を進める。また、朝の準備や活動終了後の後始末に備え、1人ずつ2本がいでの漕艇の時間も取る。先生方は皆真剣に取り組まれ、資格証を手に取ると、安堵の表情で帰路に就かれる。

 いよいよ航海当日。1日目夜の打合せで、再度カッター活動について説明をする。実技的な内容はもちろんだが、先生方に一番強調して伝えるのは、
「艇長をおつとめの先生は、ご自身が担当される艇に乗り込む児童の『命を預かっている』というお心づもりでお願いします。」
ということである。舵の取り方を誤り浅瀬に乗り上げたり、風向きや風の強さを読み違え、岸に戻れなくなったりするなどということが、命に関わる危険につながるということである。何よりを安全第一ということを確認し、打合せを終わる。

 翌日。天候もよく、風もない。予定通り実施となり、湖には、先生方や子どもたちの元気なかけ声が響き渡る。
「ようい、いち!」
「そうれ!」
 最大で5ローテーション。無事に指導を終えた先生は、心身共にお疲れの様子。しかし、無事に活動を終え安堵感や、何より、
「楽しかった!」
「オール、ものすごく重たかったね。」
「だんだん進むようになって、うれしかった。」
などと楽しそうに話している子どもたちの様子を見て、充実感、達成感に満ちた表情をされている。そんな様子を見ていると、我々も充実感でいっぱいになる。

 活動が円滑に進むよう、何よりも大切な「命」を守るために、今年度の反省を次年度の講習会に生かしていきたい。
(びわ湖フローティングスクール)