ICTの活用と国語科
蜂 屋 正 雄

 渋川小学校での「電子黒板を活用して、確かな学力を身につける子どもの育成〜言語活動の充実を目指して〜」というICT活用に関する授業研究会に、環境学習の助言者的な立場で参加させていただく機会があった。

 授業は4年生の「渋川からふるさとの環境を見つめよう」という単元。学校のビオトープで子どもたちが見つけ、詳しく調べた生き物についてのヒミツをクイズにして発表するという場面であった。
 パワーポイントで問題と答えを発表するのだが、自分たちの調べてきた生き物についての面白い事実を付け加えることで、聞き手の意識が当たりはずれだけに終わらないのがよかった。また、クイズの後に、なぜこの生き物について調べたのか、どのように調べきたか、調べて感じたことを聞き手に伝えることにも、総合的な学習の時間として、これからの方向性がわかる授業であった。
 ICTの活用をメインテーマとしたこの授業は、インターネットを介したテレビ会議というツールを使いビオトープの管理をしてくださっている方とライブで話し合いをするという展開であった。

 ICTを使った授業というと教師が授業の導入で写真や動画を見せることによる動機づけ、パワーポイントによる発表などが想像され、機器の操作・習熟に四苦八苦するというイメージである。しかし、操作・習熟というステップは必要であるものの、同校の研究では、ICTの効果的な活用を追及していくうちに、子どもたちの思考する場を保証する言語活動を重視する授業につながっていったということである。
 また、アドバイザーを3年間勤められた、岐阜聖徳学園大学の石原一彦さんのお話でも、これからの学力観として、ICTが必要であるという現代的課題とともに、「言語活動の充実に関する指導事例集」も引き合いに出しながら、「国語力の育成」が生きる力をはぐくむために必要であることや「国語力はすべての教科の基本」であることなどが話された。

 今回見せていただいた総合的な学習の場合には「課題の設定」「情報取集」「整理分析」「まとめ表現」といった過程を経ながら、出口を「表現」と位置付けて、自分の考えや思いを表現する過程で「思考」すること、また、ICTのツールがその「思考」を支える役割をするのだと、「国語科」に関わる話が聞けた研究会であった。
 渋川小学校の環境学習は滋賀県リーディング事業の指定を受けていることもあり、琵琶湖博物館の学芸員として「表現」までを意識したサポートをさせていただければと思っている。
(琵琶湖博物館)