本棚  かえるのごほうび
木島 始さく 梶山俊夫レイアウト
佑学社 1986.4
かえるのごほうび

 光村図書6年の国語教科書に、「『鳥獣戯画』を読む」(高畑勲)という教材がある。筆者は、『鳥獣戯画』を「漫画の祖」「アニメの祖」と書いている。子どもたちはこの教材を学習して、『鳥獣戯画』に関心を持ち、もっと他の場面も見てみたいと思うのではないだろうか。

 本書は、絵巻物の場面を切り分け、並べ替えてストーリーのある絵本に仕立てている。場面設定は「もりのおまつり」。うさぎとかえるがすもうをして、かえるが勝って賞品をもらうのだが、仰向けになって死んでしまう。さるのおぼうさんが来て、おそうしきになる。お供えした賞品をさるが全部持って帰ろうとする。しかし、さるがかえるにねむりぐすりを盛ったことがばれて、うさぎやかえるに追いかけられる。

 絵を楽しむことが主で、文は短い。作者は「これほどすばらしい絵を、子どもたちが、いつでもしげしげと見られるところに置けないものか」という思いから、この絵本を作ったと書いている。

 佑学社はもう出版業務を行っていないので、書店で購入することはできないが、図書館には所蔵されていると思われるので、活用してみてはどうだろうか。
(常諾真教)