巻頭言
動いて、声を出せ  〜夏季研修講座から〜
高 野 靖 人

 7月30日、明日都浜大津において、市国語部会の公開研修講座が行われた。午前中は、「確かな教材研究に基づく豊かな国語教育」という演目で、平安女学院大学の曽我正雄教授の講演があった。午後は、「物語文の教材研究をしよう」というタイトルで上学年・下学年に分かれてワークショップを行った。ちなみに、中心教材は「太造じいさんとガン」と「お手紙」である。

 午前中の講演で印象に残ったのは、「ひとり学び学習」の意義や方法。そして、個々の「ひとり学び」が「学級の学び」へ進展するプロセス。即ち、「考えを出し合う」→「響き合う」→「練り合う」→「高まり合う」という過程。
 また、最後に実施された「行間を読む」ことの演習。配布された教材「世界一美しいぼくの村」で、平和で牧歌的な仮の結びと、最終ページのショッキングな一文「その年の冬、村は戦争ではかいされ、今はもうありません」との間に「見えるものや聞こえる音」を物語として参加者が白紙に綴った。約十分後、書けたところまでということで、5、6名が発表されたが、平和な村が戦争に巻き込まれていく姿が、それぞれの感性で語られていて、興味深かった。

 午後、私が担当する下学年は、「お手紙」の音読劇がワークショップの中心となった。場面は三の場面で、手紙をあきらめてベッドにいるがま君をかえる君が励まし、遂には自分が手紙を書いたことを告白し、がま君が大喜びをする場面である。この場面を前半後半に分け、がま君・かえる君の会話と動作で演じるのが課題である。音読劇用のお面、ペープサート劇用のペープサート、窓枠、ベッド。会話だけを抜き出したプリント、その拡大版(発表用)などを用意しておいた。
 20分の相談・練習時間の内、最初の10分は初対面とあってどの班ももの静かで、表情も硬く、これで表現活動ができるの?と危惧されたが、役割が決まり練習を始めた頃から、笑顔も見られよい雰囲気となってきた。
 きっちり20分後、発表開始。聞く指導と合わせて、発表の進行は私が担当した。とにかく、参加した50名全員が前で発表することを最優先した。13班のうち、ペープサート劇は5組だった。進行していて、
@軽い動作を付けることでも、音読の声に表情が付与されること
A例えば、がま君がいつベッドから起き上がるのかなど、班による解釈の違いが顕著に表れること
など、学んだことが多くあった。
なお、後半は、心情曲線による主人公の心情への迫り方について演習を行った。
(大津市立仰木の里東小学校)