[特別寄稿]
丁寧語で出来事を解決する子どもたち
岩 崎 千 佳

「話し合う力」とは、社会生活を送る中で、一番の基礎になる力である。なぜかというと、人は、人と言葉を介して関わっているからだ。その話し合いを行うにおいて、私が大切にしていることは、「丁寧語で話す」ということである。

 学校ではたくさんの児童が集まって生活しているため、日常的に何かもめごとが起こる。その原因を探ると、たいていは自分の気持ちをうまく相手に伝えられず、腹を立てて相手を傷つける言葉を言ってしまったり、手が出てしまったりすることが発端となっている。こういう時こそ話し合いが大切である。がまんする必要はない。ただ、いやならいや、こうしてほしいと思うことはこうしてほしいという自分の意思を、「言葉」で伝える必要がある。その時には必ず丁寧語を使う。そうすると、落ち着いて自分の考えや思いを相手に伝えることができる。更に、相手を大切にしようという意識を自然と持つことができる。そうやって、それぞれの本当の気持ちを相手に伝えられる。加えて、お互いに納得し、解決できるということも教える必要がある。その経験の繰り返しで、子どもたちは、話し合いをきちんとすれば、いろんな問題を解決できていくことを学ぶ。しかも、その解決法だとどちらも気分がすっきりする。これを繰り返し指導していくことで、だんだんと子どもたちは、自分たちだけの時も話し合いをして物事を解決していこうとするようになる。

 4年生の教室で。給食準備時間。数人の男の子たちが何かわいわいと声を出していた。話の内容を聞いていると、なんと丁寧語で喧嘩らしきことをしている。「○○くんに意見です。これは、〜じゃないですか。」「○○くんとちがう意見です。ぼくは、〜だから、〜と思います。どうですか。」「同じです。」「○くんにつけたしで、ぼくも〜と思います。だって、〜だからです。」・・・。どうも、いいたいことがそれぞれぶつけ合っているようだが、丁寧語である上に、相手の意見をきちんと最後まで聞くというルールもあるので、けんかになりそうだけれども、けんかにはならず、勢いのある話し合いという様子だった。結局、その後数分してお互いに納得していた。もし、これを言いたい放題に思いをぶつけ合っていたら、確実に手が出てしまっているだろうという状況だった。話し合いのルールを共通してもっておくことの大切さを感じた出来事であった。
(堺市立平岡小学校)