保護者からの「やまびこ」より
弓 削 裕 之

 全校が体育館に集まり、担任以外の先生に自分のノートを見てもらう「ノート検定」を行っている。基準を満たしたノートには合格はんこが押してもらえる。全員が合格はんこをもらえるようにノート指導をしている。
 ノート検定の感想を書く時、2年生の国語の教科書(光村)に載っている気持ちを表す言葉からいくつか取り上げて紹介し、最後の一文はそこから選ばせた。

<あんしん・おどろいた・きもちがいい・うれしい・おもしろい・あかるい・よろこぶ たのしい・すき・まんぞく・わすれられない・まちどおしい>

 何かを選ぶ時、そこには必ず理由がある。「やまびこ」と題したプリントを保護者に配り、言葉を選んだ理由を聞き書きしてもらった。

A 合格して「あんしん」したし、「よろこんだ」し、もっとたくさん合格したら「すき」になるかもしれないけど、赤いはんこをおしてもらったことが一番「うれしかった」から。
B 感想を書いている時も「うれしい」気持ちが続いていたから。
C 「うれしかったです」はいつも使うので、「よろこぶ」を使ってみたかったから。
D はんこをもらうたびに字が上手になるような気がするから「すき」。
E 自分でもできると思っていたから「まんぞく」した。
F 5月、国語の時間に先生にノートに花マルをもらって、とてもうれしかったので、その気持ちを忘れたらもったいないなと思ったから「わすれられない」。
G ぜったい大人になっても「わすれられない」はんこだと思った。
H 赤かな?青かな?赤はんこだったらいいなぁって思うと、すごくドキドキするけど、もらえたら僕はめっちゃうれしいから、ノート検定は「まちどおしい」ねん。
I ドキドキしながら順番がくるのを待った。字が汚いから青はんこになるかもしれないと思っていた。合格できないかもしれないと心配だった。でも、赤はんこがもらえて、うれしくて「あんしん」した。

 Iの「やまびこ」には、「1年生で、ここまで感じている事に驚きました。不安な気持ちでいた事に気づいていなかったので、もう少し子どもの心の動きに敏感になりたい」という保護者のコメントもついていた。
(京都女子大学附属小)