黒色に白い字
中 嶋 芳 弘

 書道を学ぶと拓本というものに出会う。黒い面に白い文字が浮き出したように見える拓本で古典を学ぶのである。ともあれ、黒の中に白い文字があるというのはおもしろく、文字造形への関心を呼び起こしてくれるものである。
 いつもの学習をこつこつとすることも大切であるが、出会い方や学び方を少し変えてみることが学習の意欲を高めたり、あたらしい気づきにつながったりするものである。
 作品をデジカメで写し、コンピューターソフトでネガ状に反転させれるのも一方法である。しかし、体を大きく動かす体験があるほうが驚きは大きく、学びの意欲をより深く喚起すると言うことで紹介してみたい。黒い紙に白いペンキで書くのが一番簡単ではあるのだけれど。

◎「書きたい文字を選ぶ」
 これまでの学習を振り返り、形のおもしろかった文字、好きな意味の文字。グループで書き出したり、話し合ったりして想を練る。 1時間
◎「書きたい文字を書いてみる」
 いろいろな大きさ、形の紙を用意し、鉛筆やフェルトペンで書いてみる。 1時間
◎「書きたい文字を書いてみる」
 いろいろな大きさ、形の紙を用意し、毛筆で書いてみる。 1時間

 ここまでは、いろいろな大きさ、形の紙を用意する以外目新しいことはない。
【準備物】 用紙(書道用の全紙を切った物数種類)・湯煎したパラフィン(電熱器の上にアルミかステンレスの底が平らで口が大きく開いていて深さが浅い容器をかけ、湯を沸かす。そこに外側の容器より小さな容器にパラフィンを入れてかけておく)・パラフィン用の筆・バケツに墨液と大筆・新聞紙・アイロン

◎「書きたい文字をパラフィンで書く」
 準備ができたら、先の書道用紙にパラフィンで書く。乾いたら大きな筆(刷毛でもよい)で、僕液を塗り乾かしておく。新聞紙の間に挟み、アイロンをかけて新聞紙にパラフィンを溶かしとる。 1時間

 パラフィンが溶けて、新聞紙に吸い取られ、黒い紙がピンと伸びると、いつもとは雰囲気の違う自分の文字が浮かび上がってくる。墨の代わりに絵の具や染料を使い、違う色に仕上げてみるのも楽しいだろう。
 春や秋の作品展、卒業記念作品集作り、いろいろと活用できそうに思う。
(彦根市立河瀬小)