豊 か な 水
箕 浦 健 司

 びわ湖フローティングスクールの航海2日目に行われる「びわ湖環境学習」。そのプログラムの1つに、「湖の子」水調べがある。
 2日間の航海の舞台は、母なる湖、琵琶湖。その琵琶湖の水質を調べる学習である。航行中にポンプで採水。南湖と北湖との違いを調べたり、校区を流れる川の水を持ち込み、琵琶湖の水と比べたりする。

 調査の観点は、色、におい、透明度等。この航海では、大津港沖、白石付近、長浜港沖で採水した。この学習のために作られた水槽を使い、調査を進める児童たち。結果は、南湖(大津港沖)よりも北湖(白石付近、長浜港沖)の方が透明度が高かった。
「白石付近の水は、300センチメートル以上文字盤の文字が読めるよ。」
「大津港沖の水は、少し濁っているね。」
「南湖より、北湖の水の方が、きれいなんだね。」
 ここで先生が一言。
「北湖の水がすきとおっていて、南湖の水は濁っている。では、北湖の水はきれいで、南湖の水は汚れているのでしょうか。この濁りの原因は、一体何なのでしょう。」

 南湖の水の濁りの原因は、何だろうか。取った水を濾過し、残ったものを顕微鏡で調べる。濁りの原因は、プランクトンであった。
 南湖には、リンや窒素等の無機物が豊富で、植物プランクトンが増える。それを動物プランクトンが食べ、それを魚が食べ…。決して、「汚れている」のではない。生命を生み出す「豊かな水」なのだ。
 しかし、富栄養化が進めば、赤潮の原因となる。特定の種が異常発生すれば、生態系が壊れる原因ともなる。
「その鍵を握っているのは、わたしたち人間の生活の仕方なんです。」

 この学習では、単にきれい・汚いという単純な見方だけでなく、各地の水の性質を調べることで場所によって違いがあることに気づいたり、水と自分たちの生活とを結びつけて考えたりすることをねらいとしている。限られた時間で行うプログラムではあるが、航海終了後、
「豊かな水環境を守るために、自分にできることは何か」
と一人でも多くの子どもが考えられるような、そのきっかけとなる学習プログラムでありたいと考える。
(びわ湖フローティングスクール )