授業研究会に学ぶ
三 上 昌 男

 1年生『こえのゆうびんやさん』(東書上巻)の学習を参観した。
◇1回目
「秘密の指令です。
 はじめに、葉っぱとカーテンを緑色で塗ってください。」
「はい、わかりました。」
◇2回目
「秘密の指令です。
 次に、花といすを赤色で塗ってください。」
「はい、わかりました。」
◇3回目
「秘密の指令です。
 さいごに、コップと花瓶を青色で塗ってください。」
「はい、わかりました。」

 郵便屋さん役の子どもが、3回に分けて担任から秘密の指令を聞き取り、学習グループの各色担当の友だちに正しく伝える。指令を聞き取った子どもは、塗り絵を完成させていく。グループで協力して話すこと・聞くことの言語活動に取り組み、塗り絵を完成させるという「みんなでできた感」を体験できる内容で、どの子も集中して活動できていた。

 ふり返りの学習場面では、聞くめあてと話すめあてに沿って自己評価し、感想を書くことに取り組まれた。
「楽しかったです。」
「郵便屋さんが上手でした。」
「郵便屋さんの話し方がよかったです。」
「がんばって聞いてくれたので、うまくできました。」
などの感想が紹介された。 
 本時で郵便屋さん役を経験したのは1人であったが、単元全体ので全員が交代で郵便屋さん役を経験し、「話をしっかり聞いて、他の人に正しく伝える」ことを達成できるよう計画されている。

 研究協議会では、学年や本学級の実態をもとにした授業づくりの意図を理解した上で、中心となる言語活動について多様な意見が交わされていた。
 どの子も指令を正しく伝えられたことやどのグループも塗り絵を完成できたことは評価できるが、課題が易しかったのではないかということである。また、色担当の子どもは、待ってる時間が長く、正しく聞き取る学習活動が十分とは言えないのではないかという指摘もあった。具体的な方法も提案されて、授業づくりのアイデアを学び合うことができた。
 授業者が、学習のねらい(育てる力)をどのように設定し、どの子も達成できる段階的指導と支援をどのように展開するか。「聞くこと」を大事にした入門期の授業のあり方をもとにして、国語科の授業づくりの基本を確認し合う研究会となった。
(近江八幡市立桐原東小)