物語のあらすじをとらえる(1) 「ゆうすげ村の小さな旅館」(3年)
藤 井 隆 一
1 あらすじをとらえる 「ゆうすげ村の小さな旅館に、ある日、一人の女の子がたずねてきました」というリード文で教材『ゆうすげ村の小さな旅館』の扉が開く。単元名「物語のあらすじをとらえよう」に続き、「場面のうつりかわりに気をつけて読み、あらすじをまとめよう」というよびかけに子どもたちは出会う。 繰り返しでてくる「あらすじ」について「言葉の力」(学習の手引き)で、次のように習得する力を示している。 ○場面ごとに、「時」「場所」「人物」をおさえる。 ○だいじな出来事を落とさないようにする。 ○物語の中の出来事全体を見通して、細かいところや、何度も繰りかえされているところは、はぶいたり、みじかい言葉で言いかえたりする。 本教材を「あらすじをとらえる」力を育てることに位置づけて指導をするとどのような授業が展開できるかということを考え実践した。 2 単元指導計画 単元計画を次の四段階で考えた。教材で習得した力を、他の本で活用できるという筋道である。 (1) あらすじについて知る。あらすじを書く時のコツを知る。既習の教材や知っている話(ウサギとカメ)であらすじを書く。 (2) 場面ごとに「時・場所・人物・大事な言葉」をおさえながら物語の大体を理解する。(読みほぐし) (3) 学習の手引きの問題を手がかりにしてあらすじを書く。手がかりとして、出来事を表に整理をしてだいじなところをまとめる。 (4) 学習をしたことを生かして、自分の好きな本のあらすじを書く。 指導計画の意図は、子どもたちのあらすじを書く力を育てることであり、実際に読んだ本のあらすじを自力で書ける子に育てることである。 3 授業展開の概要 教材を読むという活動を、従来の場面ごとの読解という方法から離陸し、あらすじにつながる読み方に焦点づけるようにした。指導計画(2)の冒頭場面の指導における主な発問は次の通りである。 ○この文を読んで分からないことはありませんか。この文から分かることはどんなことですか。(季節、場所、登場人物などについて読み取りをさせる) ○場面の様子やあらすじを書く時に必要になる言葉を確かめる。(ゆうすげ村の旅館には工事の人がとまりに来ている。息をつくひまもない。ひとりで旅館を切りもりしている) (栗東市立治田小)
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