巻頭言
言語活動の充実
奥 村 豊 美

 学習指導要領では、確かな学力を確立するために、知的活動、言語活動の充実、理数教育の充実、十分な学習時間の確保などが大切であると謳われている。

 言語活動の充実とは、そもそもどのようなことを指しているのか。現場の先生方はどう受け止めているのか。ある学校で若い先生方に、「言語活動の充実」で何を考えるかを聞いてみたところ、「話し合いを充実させること」「単元の最後にまとめとして言語活動をする…時間の関係もあって難しい」「用語を知り使いこなす」「文にまとめる力をつける」「全ての教科で行うもの…体育は?」という答えが返ってきたそうである。このようなイメージは、多くの先生方がもっているのではないか。大きく外れてはいないだろうが、漠然としていて何をどう取り組ませるのか、明確ではない。

 勤務校では、市指定で「言語活動教育推進事業」を受け、2年間の研究を進めてきた。研究の対象は、国語と算数とした。まずとっかかりとして、子ども達個々に、話す・聞く・書くスキルを身につけさせ、並行して、子ども達同士で話し合いを深めさせるために「学び合いスキル」と証する具体的な分かりやすい話し方例、質問例などを示して授業に臨むようにさせた。何よりも、課題解決型の学習を目指すことを教師も子どもも念頭においた。

 さて、2年間の成果は…。どのクラスの授業も、課題を大切にしていること、子どもの思考が見えるように板書を工夫していること、話し合いを充実させるために教師の発話や子どもの発言の取り上げ方を工夫していることなどが見られるようになった。しかし、課題は多い。学習課題の質がとてもよくて、子どもが俄然乗ってきて話し合いが深まった―という声があちこちで聞かれるまでには至っていない。話し合いの充実についても、まだまだ教師主導型が多い。板書は、かなり磨かれてきたかな…というところが実情である。そんなに簡単なわけにはいかない。

 今感じるのは、教師がことばに敏感でなければならないということである。無駄なことばを使っていないか、子どもの心に響かないことばを発していないか。当たり前のことであるが、子どもに言語の力を育てるためには、日々研鑽を重ねるべきプロフェッショナルなのである。
(金沢市立鞍月小学校教頭)