印 を 彫 る
中 嶋 芳 弘

 石に印を彫る。それなりの呼び名で言えば「篆刻」なのだが、そう呼ぶほどのものではなく「石印」と言ったところ。消しゴムに彫るスタンプを石に変えてみたくらいのものである。印材の石は、3p角、5p長くらい。ひとつ200円以内。小さな方寸の世界に文字を彫り込むのである。

自分の名前を書く@
 これまでの学習を振り返り、「とめ、はね、払いに気を付けて」「扁と旁の関係に気を付けて」「おさまりを考えて大きく」…めあてをもって硬筆で名前を書く。1時間。
自分の名前を書くA
 半紙に筆使いを考えながら、毛筆で名前の字を書く。1時間。「筆先を紙に突き刺すような気持ちで」「縦画は太く、横画は細く」子どもたちは筆先を見つめながら書いていく。
 *硬筆+毛筆で1時間とし、これを2時間するのもよい。
印に彫る字を書く@
 自分の名前の字の中から、あるいは好きな言葉を選んで、正方形にした半紙の中に毛筆で書く。1時間。印の石の中へ書き込むことをイメージしながら、一字から四字をおさまりよく書き込んでいく。
 *篆刻の印では難しいので、「大和古印」など楷書の印を多数見せ、自分の彫る印をイメージさせる。文字を彫るのか、文字の周りを彫るのかも考えさせる。
印に彫る字を書くA
 前時の四分の一の方寸の中に毛筆で書く。小さくなった分難しくなるが、その分筆先が立ってくる。
 *高学年になるにしたがい、清雅に書きたい思いも強くなる。入門期には、教科書のように書けなくて当たり前、元気に子どもらしいのがよいと思う。
石に彫る字を転写する
 先の四分の一の方寸の中に書いた作品を石の面と同寸法になるようコピーしておいてやる(クラス分を切り貼りして原稿を作っておけば簡単)コピー面を石の彫る面に当て縁をテープで側面に貼り付ける。紙の裏から黄色の油性ペンでこすると、石に転写される。
 *化学消しゴムで消せる。版画と同じで転写がうまくできれば印はほとんどできあがったようなものである。
石に印を彫る
 彫刻刀(ニードルや平刀)で彫る。2時間。石は柔らかく釘でもこつこつと刻みながら彫ることができる。失敗しても粗めの紙ヤスリで削り、細かい目の紙ヤスリで磨けば、彫り直しの印面ができあがる。試しに押してみながら、補刻して仕上げていく。できあがった印を書写の作品に押させたりして活用させたい。
(彦根市立河瀬小)