随筆を書く
白 髭 英 之

 「自分を見つめ直して」(光村6年)の学習。「随筆」という文章形式を知り、「随筆」を書く学習である。
 「随筆」と聞いて思い出したのが、清少納言の枕草子、鴨長明の方丈記、吉田兼好の徒然草…。そのイメージから、どんな難しい学習になるのか不安になった。
 教材文を読むと、「随筆」とは、『自分が実際に経験したことや、見たり聞いたりしたことの中から、忘れられないような印象深いことを取り上げ、それについて自分の考えをまとめた文章』と書かれていた。日記のようなものを、少しバージョンアップすればよいのかと思うと、少し気が楽になった。

 教材文の中には、随筆の文例が載っている。
@読み手を引き付ける書き出しの工夫をしている。
A周りの状況がよくわかるような具体的な記述をしている
B自分の体験や印象に残った事実と、その時に感じたことなどを書いている
C最後に、自分が考えたことを整理して書いている
など、その文例を読み、文章構成や表現の工夫を見つけた。
 今回は、この中の@に着目し、書き出しを工夫してみようと子どもたちに伝えた。会話文から始めたり、聞こえてくる音を書き表したりするなど、いくつかの例を示した。

 子どもたちの作品から。
●「練習できるか?」の先生の質問に「できません。」と答えた時から出ることを決心したような感じがしていました。
 夏の市水泳記録会に出るか出ないか葛藤していた心情を綴る。逆説的な言い回しがおもしろい。
●「ようこそ夢と魔法の世界へ」どこからか楽しそうな声がした。
 東京ディズニーランドで過ごした思い出を綴る。きっと、夢の世界を満喫したのだろう。
●『電車が発車します…。ドアにご注意ください…。』
 駅のホームで、初めて目の不自由な方に出会った時の思いを綴る。最初に周りの状況をうまく伝えている。
●おばあちゃん家に着くと、とても大きな笑い声が聞こえてきた。
 正月にみんなで仲よく過ごした話なのかと思ったら、TVゲームに熱中し過ぎて祖父母とあまり話をせず、後悔した思いを綴る。書き出しの後、心の移ろいがよくわかった。

 文章を書かせると、毎回、子どもたちの柔軟な発想や感性に驚かされる。子どもたちの作品を読んでいる時、楽しい一時であった。
(彦根市立城南小)