3学期の始まりにあたって
白 髭 英 之

 担任する6年生の子どもたちにとっては、小学校最後の学期となる3学期が始まった。最初に、季節の言葉「冬は、春の隣」(光村)の学習に取り組んだ。
 「早春賦」や俵万智の短歌、その他、冬に関する俳句や言葉が載せられている。
 冬の言葉がもつ語感や美しさを味わおうと、音読に繰り返し取り組んだ。教科書には「あなたにとって、これからむかえる春は、どんな季節でしょう。短い文や詩、短歌、俳句で表現してみましょう」と書かれている。子どもたちは、4月から中学生である。子どもたちに、「みんなにとっての春は、季節の春と、進学という1つの転機を迎える人生の春という意味があるね」と話をした。少し難しいかもしれないとは思ったが、季節の春と人生の春の意味を込めながら短い文や俳句作りに取り組んだ。加えて、その短い文や俳句に自分の思いを加えてみようと伝えた。
 まず、この時期にイメ−ジする言葉をみんなで集めてから、実際に作り始めた。

子どもたちの作品から…
春がきて 桜が咲く頃 中学生』 一番多かったパタ−ンである。子どもたちにとって「春と言えば桜」なのだろう。「日本人やなあ」と微笑ましく感じた。
小学校の 桜が見えない さびしいな』 中学生になると、勉強が難しくなり、部活で忙しくなると考えている子どもが多い。いよいよのんびり過ごすことができる小学校生活が終わる。子どもたちなりに、1つの区切りを感じているのだろう。
中学校 先輩達は どんな人 梅や桜が 満開に咲く』 先輩たちとの関係は、中学1年生にとっては切実な問題である。
冬が過ぎ 色とりどりの 花が咲く 中学進学 不安高まる』 中学進学を不安に思っている子どもたちが多い。「色とりどり」という言葉を盛り込みながら詠っていることがうれしかった。
入学式 満開の桜で不安がとんだ』 楽しみにしていると詠んだ子どもは少数であった。
桜が咲き 新たな人生のスタ−トに立つ また新たな 人生が始まる これから 一歩ずつ 私達は 歩んでいく
桜の木 それぞれ決めた 場所で咲く』
 一人一人歩みは違う。顔も心も考え方も違う。自分の、そしてみんなの思いを大切にしながら、一歩ずつ歩みを確かにして成長してほしいと願う。
(彦根市立城南小)