物語の組み立てを学んで、物語を書く
海 東 貴 利

 3年生の読むことの単元「三年とうげ」(光村3下)は、書くことの単元「物語を書こう」と連続している。「読むこと」で学んだことを「書くこと」に活かす学習構成になっている。何のために読み、何のために書くのかという目的意識をはっきりさせ、読むことと書くことの知識・技能を関連させる学習にしたいと考えた。
 「三年とうげ」では、場面の設定、事件の発生、解決の経過、出来事の解決、終結・後書きといった物語の組み立てを学習する。これは創作活動で文章の構成を考えるための基礎になる。

 はじめに、「かさこじぞう」を使って、時間、場所、人物、出来事の変化など場面分けのポイントを押さえる学習をした。「三年とうげ」では、さし絵と場面が連動していたり、1行空けてあったりと工夫がなされている。そのため物語の組み立ても考えやすい。本文を読み、場面分けしながら、物語の大まかな設定を確かめることができた。

 次に、教科書の学習の手引きを読んだ。手引きでは、多くの民話や物語が4つの組み立てで構成されていることが示されている。手引きを参考にしながら、@はじまりの場面、A出来事が起こる場面、B出来事が変化する場面、Cむすびの場面がどうなっているのか考えた。手引きに物語の組み立てがていねいに示されていることで、読むことに不慣れな児童も安心して学習に取り組むことができた。

 「物語を書こう」では、下書きの前に、物語の組み立てを考えさせるため、「組み立てメモ」に順序よくまとめさせた。子どもたちは、どのような出来事が起こり、どうして解決していくのかを考えることが難しかったが、2つ目の場面で「登場人物がこまる」という学習の手引きの1文がヒントとなり、組み立てを構想しやすくなった。
 また、清書する際に、場面にあったさし絵を描かせることにした。4枚のさし絵を描くことにより、4つの場面の組み立てをもう一度意識しながら文章を書くことができた。

 できあがった物語は、グループごとに交換し読み合った。組み立てメモや下書きのノートも合わせて交換し、作品が出来上がるまでの様子を考えながら、じっくり読み合うことにした。ストーリーのおもしろさだけでなく、4つの組み立てに沿って書かれているかも読む時の視点にして感想を交流することができた。
「むずびがうまかったです。感動しました。」
「メモを見ると場面のせっていがとても細かく考えてあってびっくりしました。」
 友だちへの感想の中には、学習の中で学んだ言葉を使ってまとめた子もおり、ストーリーや表現のおもしろさだけではなく、学習のねらいに沿って作品を読むことができていた。
(高島市立マキノ南小)