学び合いつながり合う書写の学習
中 嶋 芳 弘

 はじめに、掲示した「平和」@について問題点を見つける。@は、校内、ましてクラスの子どもの作品では配慮が足りない。他校の児童作品や自作の資料を準備する。まず、グループで話をする。子ども達は、互いの発見を聴き合うことでめあてを見つけていく。

「中心を考えて書いてあるやん」「でも、これって下の字の方が大きいのがいいのと違う?」「そうやな。でも、紙いっぱいに書いてあっていいと思う」「和の旁の口、合わさり方違うよね」……「編と旁、くっついてるのあかんよな」……

 次に、グループの中で出し合った個々の発見や気づきをクラス全体の場に広げ、めあてをつかむステップ。「発表してくれる人」と私。ほとんどの子の手が挙がる。起立を求め、順に指名し、「なぜ?どこが?どのように?」と子どもたちの発言をつないでいく。同じ発言内容に着席する子がいる。新しい発見をして途中で起立する子もいる。「前で説明していいですか」「ここ(禾)が、くっついているのは離れるように旁につくところは短くします」「紙いっぱいだと堂々としている感じがしていいです。でも、平の方が画数も少ないし、もう少し小さく書いた方がいいです」文字の大小、行の中心、字間、余白等、本時のねらいにしようと考えたことが出尽くし、起立している児童も居なくなった。)

 それから、グループで「平和」Aをプレートに協力して書き上げる。個々の気づきを出し合い、プレートの文字を訂正し合いながら書き上げていく。各グループの「平和」Aを掲出する。先につかんだねらいをもとに、良いところを見つけあう中で、子ども達は個々が書くめあてを意識する。

「先生、早く書こう」書きたい気持ちいっぱいでつぶやく子の声が聞こえる。「では、毛筆で書きましょう」子ども達はそそくさと習字セットを広げる。残り時間は十五分あるか。ねらいを意識して集中して書く。十五分あれば十分である。見つけたことを生かして書いている児童の机間を巡り、毛筆の特性にもふれながら、書く姿勢や用筆法について良い点を認めていく。また、書いて見せていく。

「下の字を書くときに、紙を上に上げるか、自分が少し下がって書くと書きやすいよ」「本当や。書きやすい」  聞いて学び、見て学び、書いて学ぶ。学び合うことで子ども達は学びに自信を持つのである。
(彦根市立河瀬小)