わたしが選んだ資料
弓 削 裕 之

 社会科の授業で、教科書に載っている資料の中から、その時代を最もよく表していると思うものを1つ選ぶ活動をしている。

 @教科書の見開き1ページを読み、疑問に思ったことをノートに書き発表する。
 A教科書中の資料がそれぞれ何を表しているか考える。
 B複数の資料の中で、その時代を最もよく表していると思う資料を1つ選び、その理由を話したり書いたりする。

 @の活動では、言葉に着目させるため、表記上の疑問点も挙げさせる。例えば、「どうして大久保利通、西郷隆盛、木戸孝允の順に教科書に書かれているのだろう」などである。細かなところまで教科書を読ませることで、歴史が得意な子も新鮮な視点で教科書に向かうことができる。「若い武士たちが幕府をたおす」(東書上)の資料選びでは、子どもたちは次のような理由を考えた。資料は以下の4つである。

A ペリーの上陸
 ・ペリーは新しい時代を築くきっかけとなった人物だからです。この2ページは江戸幕府が終わるまでと、新
  しい時代が始まるまでを書いているので、重要人物のペリーが大きくのっているのはペリーを強調すること
  で、時代の変化を表していると思います。
 ・この時代は混乱や不安でいっぱいだったからです。また、その原因がペリーの上陸だったからです。
B 長州藩の砲台を占領したイギリスなどの外国の軍隊
 ・外国に攻められたことで外国の怖さを知り攘夷運動をやめ、倒幕運動に専念したからです。だから、その後
  すぐ江戸幕府がつぶれたと思います。
 ・外国の強さを思い知らされたということがよく分かるからです。
C 五箇条の御誓文の内容とその発表の様子
 ・この資料はペリー上陸があったから外国と戦うことは無理だとわかり江戸幕府が終わってから定められたこ
  となのでよくこの時代のことが分かると思います。
 ・新しい政府(明治)は明治天皇の名で定めていて大きいことだと思いました。
D 西郷隆盛と勝海舟
 ・いくさや戦争などで解決せずちゃんと話し合いで解決しようとしているからです。
 ・この一瞬はこれからの日本を変えていく一瞬だからです。

 資料を選ぶことで、歴史の教科書が子どもたち自身のものになっているのを感じた。自分のものになるからこそ、それを言葉で伝えたいと思うのかもしれない。
(京都女子大学附属小)