耕し読みのすすめ 「ごんぎつね」(新美南吉・4年)
吉 永 幸 司

1、耕し読みのすすめ
 自由に読書をするときは気楽に読み取りを話す子が、授業になると急に口が固くなる。それを乗り越えるために、耕し読みを考えた。
 音読を軸にして、文章をすらすらと読む力を育てる。音読の過程で、大事な言葉や文の解説をしながら、理解を広げていくという方法である。

2、「ごんぎつね」の耕し読み
 全文を音読をさせ、感想や理解の様子を確かめたあと初めから文章を読ませる。
これは、わたしが小さいときに、村の茂平というおじいさんから聞いたお話です。  昔は、わたしたちの村の近くの、中山という所に、小さなおしろがあって、中山様というおとの様がおられたそうです。
 その中山から、少しはなれた山の中に、「ごんぎつね」というきつねがいました。ごんは、ひとりぼっちの小ぎつねで、しだのいっぱいしげった森の中に、あなをほってすんでいました。そして、夜でも、昼でも、辺りの村へ出てきて、いたずらばかりしました。畑へ入っていもをほり散らしたり、菜種がらのほしてあるのへ火をつけたリ、ひゃくしょう家のうら手につるしてあるとんがらしをむしり取っていったり、いろんなことをしました。
わずかこれだけの文であるが話題することは多い。
@「わたし」はだれか。
A聞いた話だが、何をつたえたかったのか。
B「ごんぎつね」という名前なのに「ごん」という呼んでいる。
C小ぎつね(子ぎつねとの違い)
Dいたずらばかり
E畑へ入っていもをほり散らしたり、菜種がらのほしてあるのへ火をつけたリ、ひゃくしょう家のうら手につるしてあるとんがらしをむしり取っていったり、いろんなことをしました。 (〜たり、〜たり、〜たり、いろんなこと)
 これらのことを話しながら、「気になった言葉や文」を見つけるという読ませ方をするのである。このような読み方を積み上げると「すらすら読める」「語や文を手がかりにして様子や気持ちを自分から読もうとする」という子どもが育っていく。

3、耕し読みのあとは自主学習
 学び方や読み方を習得させれば、自主学習へ意識が高まる。読みたいことが選べる力が育つという試みである。
(京都女子大学)