言葉を味わう 2
白 髭 英 之
『やまなし』(光村6年)の学習に取り組んでいる。文学作品に出会うこと、自ら本を取ることが減った子どもたちである。作品中に使われている表現に触れたり、考えを交流する中で、多彩な表現を味わったりしたいと思う。 学習の場面から。 T 「谷川」って何ですか。 C 川のこと。 T では、「谷」って何ですか。 C ……。(順に指名する) C ……。 T では、辞書で調べましょう。(調べて、意味を確認する。) T 先生の実家は田舎やで、白髭家としてたくさん山を持っているんやけど、小さい頃はよく山に行って…。 C 山って、自分で持てるん?(驚いている様子) 城南小学校の周りは、田が少し残るくらいで、宅地ばかりである。山と山が連なっている場を見るのは、行楽に出かけた時ぐらいなの であろう。 T 「一 五月」とあるけれど、五月と言えば、何を連想しますか。 C 鯉のぼり。 C 子どもの日。 C ……。 C かぶと。五月人形。 C ……。 C 微妙です。 T どういう意味? C 春でもないし夏でもない。 31人全員指名したが、後はゴ−ルデンウィ−クが出てきたぐらいで、続かなかった。ある子どもが「新緑」と答えたので、五月は新しい命が生まれる、いろいろな生き物が動き出す時期とまとめた。 先輩からすれば十分ではないだろうが、私は、子どもの頃、山菜採り、木起こし、雪囲い、山芋ほりなど季節ごとにいろんな手伝いをした。その中から言葉を学んだことも多い。先月号にも言葉について書いたが、自然や生活から学ぶ機会が減った今、言葉に気付かせる、言葉を教えることがますます大切になってくる。 『やまなし』には、「かぷかぷ笑う」という表現がある。「かぷかぷ」ってどのように笑っているのか、自分ならどうように表現するのか、では「泣く」であれば、どんな修飾をするのかなどと、言葉に敏感になるよう、子どもたちに投げかけている。 何も制約を設けず、初発の感想を書いたところ、自分なりのクラムボン像を頭の中で描いたり、宮沢賢治の独特な表現に気付いたりする子どもたちもいる。一つ一つの言葉を大切にしながら学習を展開していきたいと考える。 (彦根市立城南小)
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