新聞を読む言語活動
三 上 昌 男

 これまで新聞を活用した国語科の学習指導としては、新聞作りの過程で紙面構成の工夫を学ぶことに取り組んだことがある。投稿欄を活用し、意見文を書くことに取り組んだことがある。四コマ漫画を使った短作文の学習に取り組んだこともある。いずれも「書くこと」の学習でのことである。
 今回の学習指導要領改訂の特徴である「言語活動の充実」に関して、高学年の「読むこと」の指導事項にかかる言語活動例として、 「編集の仕方や記事の書き方に注意して新聞を読むこと」が挙げられている。教科書では、新聞を読むことの学習が、5年生で新たに教材化されている。

 本年度の滋賀県総合教育センター「国語科に関する研究T」では、研究員の松本先生が、「新聞を読む言語活動」をテーマにした実践的研究に取り組まれている。
 新聞が国語科の学習に活用できることは言うまでもないが、新聞と子どもの距離をどう近づけるか、新聞との出会いに工夫が必要である。そこで、単元構成として、「親しむ」「つかむ」「広げる」という三段階を設定された。

 「親しむ」では、新聞のよさやおもしろさを見つける活動を位置付け、新聞への興味関心を高めることを主眼に展開された。面積ナンバー1やいろいろな面・コーナーを探す活動に子どもたちは意欲的に取り組んでいる。
 「つかむ」では、新聞のつくりや特徴を捉えることをめあてに、教材となる新聞記事を準備して展開された。「いつどこハンド」や「くものすシート」など、ユニークな学習活動を工夫されている。
 「広げる」では、同じ話題を扱った二つの記事を読み比べることを通して、書き手の意図を捉える学習を展開された。また、授業と並行して取り組んできた新聞記事のスクラップから、気に入った記事を紹介し合う学習にも発展されている。

 こうした学習を通して、「はじめは新聞に興味がなかったけど、朝読むようになった」「これからも新聞を毎日読みたい」など、子どもの新聞を読むことへの意欲の高まりが感想からわかる。
 また、「時間がなくても、見出しやリードを読めば、記事の内容のあらましがつかめることがわかった」「二つの記事を読み比べて、書き手の伝えたいことがぜんぜん違った」など、新聞の読み方に関わる学びが認められる。
 さらに、実践協力学級の教室には、新聞コーナーが設置され、朝の会や朝自習などで新聞を読む活動が継続されている。
 今回の研究実践から学ぶことが多い。2月の発表会にご参加いただきたい。
(近江八幡市立桐原東小)